ホルター心電図

【ホルター心電図とは】

ホルター心電図(Holter Electrocardiography: Holter ECG)は、24時間の心電図検査です。外来で出来る最も詳しい心電図の精密検査です。私たちの心臓は一日約10万回、脈を打っています。24時間全ての脈を記録して、異常がないかどうかを詳しく調べます。動悸や胸痛の診断では症状出現時の心電図記録が重要です。来院時に症状がない場合もホルター心電図が有用です。

【ホルター心電図の目的】

ホルター心電図は24時間全ての脈を記録します。動悸や胸痛の自覚症状の場合、自覚症状の原因として脈に異常があるかどうか、治療が必要な不整脈かあるかないか、が重要です。ホルター心電図検査では、治療が必要な不整脈があるかどうかを調べます。ホルター心電図を行うことによって、

1、全体として治療が必要な不整脈があるかないか

2、自覚症状に一致して脈の異常があるかないか

3、自覚症状に一致して脈の異常がある場合、治療が必要なものかそうでないか

がわかります。脈の異常には様々なものがあり、精密検査や治療が必要な不整脈と、直接命に関わらなく経過観察で問題ないものと、多岐に渡ります。具体的には、

精密検査や治療が必要なもの:

・不整脈(発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)

・不整脈以外の循環器疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、弁膜症、他)

・呼吸器疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症、他)

・内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎機能異常、低血糖症、他)

・その他(貧血、発熱、自己免疫疾患、他)

直接命に関わらなく経過観察で問題ないもの:

・不整脈(心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈、洞性徐脈、他)

・薬剤性(カフェイン、煙草、アルコール、他)

・ストレス性(不安神経症、過換気症候群、パニック障害、他)

・その他(低血圧症、更年期障害、呼吸性変動、他)

【ホルター心電図の流れ】

上図のように、胸に3ヶ所、電極を貼付します。上方の電極にはホルター心電図の本体があり、ここに24時間分の脈が全て記録されて行きます。以前に比べればかなり小型化が進み、洋服の下に隠れるようになりました。当院の採用しているホルター心電図は防水タイプであり、シャワーもお風呂も可能であり、検査の負担は大幅に軽減されました。ホルター心電図と一緒に、記録計または症状の記録用紙をお渡しします。動悸、胸痛、失神など症状の記録と、食事、トイレ、就寝と起床、生活を記録していただきます。その後、症状出現時と動作、ホルター心電図の脈の記録を照らし合わせて脈のデータを解析することが大事だからです。検査はホルター心電図を装着する時と、取り外す日と二日間連続して来院可能であることが必要です。当院では、検査のスケジュールを調整して、検査日を決めて、スケジュールを予約して行っています。ホルター心電図の取り外し後、解析レポートが届くのには一週間ちょっと掛かります。

【ホルター心電図の解析レポート】

ホルター心電図の取り外しから一週間ちょっとで解析レポートが届きます。解析レポートには、24時間、10万発前後の心拍が全て記録されています。症状と心電図波形を照らし合わせて、症状とホルター心電図記録の波形の異常が一致すれば診断が確定します。逆に、症状出現時にホルター心電図で正常な脈が記録されている場合は、症状と脈は関係なしであることが確定します。一方で、ホルター心電図で期外収縮などの異常波形が記録されていてもその時に何の自覚症状も伴っていなければ、その場合も症状と脈は関係なしであることが確定します。稀に致死的な不整脈が発見されることがありますが、その場合は症状の有無に関わらずに精密検査を進めていく必要があります。ホルター心電図の検査結果は多岐に渡ります。解析レポートを見ながら詳しく結果を説明します。動悸や胸痛の症状で診断が付いていない場合、ホルター心電図検査の適応について一度主治医までご相談ください。