抗不整脈薬

抗不整脈薬とは不整脈の治療に使う薬です。「Vaughan Williams」分類が有名です。
・Ⅰ群(ナトリウムチャネル遮断薬):
・Ⅰa群:アミサリン(プロカインアミド)、リスモダン(ジソピラミド)、シベノール(シベンゾリン)、他
・Ⅰb群:キシロカイン(リドカイン)、他
・Ⅰc群:タンボコール(フレカイニド)、サンリズム(ピルジカイニド)、他
・Ⅱ群(β遮断薬):インデラル(プロプラノロール)、セロケン(メトプロロール)、メインテート(ビソプロロール)、テノーミン(アテノロール)、アーチスト(カルベジロール)
・Ⅲ群(カリウムチャネル遮断薬):アンカロン(アミオダロン)、ソタコール(ソタロール)、シンビット(ニフェカラント)
・Ⅳ群(カルシウムチャネル遮断薬):ワソラン(ベラパミル)、ベプリコール(ベプリジル)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)

またアトロピン、ジゴキシン、アデホスも抗不整脈に含める分類もあります。抗不整脈薬は今でも現役ですが、カテーテルアブレーション治療の進歩によってカテーテルアブレーションが第一選択となる不整脈も増えて来ました。

循環作動薬

循環作動薬

循環作動薬とは?

循環作動薬とは血管収縮薬、昇圧薬、強心薬、交感神経刺激薬等の総称です。静注薬はアナフィラキシー、ショックの治療に、経口薬は主に低血圧、徐脈の治療に使います。診療所の外来で静注薬が必要になることはまずありません。

・静注薬:ボスミン(アドレナリン)、ノルアドリナリン(ノルアドレナリン)、イノバン(ドパミン)、ドブトレックス(ドブタミン)、ネオシネジン(フェニレフリン)、エフェドリン、ミルリーラ(ミルリノン)、コアテック(オルプリノン)、ピトレシン(バソプレシン)、他
・経口薬:メトリジン(ミドドリン)、リズミック(アメジニウム)、他

・α1作用:血管収縮作用
・α2作用:血管収縮作用
・β1作用:心拍数上昇作用、心収縮力増強作用
・β2作用:気管支拡張作用、血管弛緩作用
・β3作用:平滑筋弛緩作用
・D作用:腎血管拡張作用

カテコラミン受容体にはα1、α2、β1、β2、β3、D受容体があり、副作用、薬剤相互作用でしばしば問題になります。

冠動脈疾患

冠動脈疾患とは?

冠動脈疾患(Coronary artery disease: CAD)とは、冠動脈の病気の総称です。冠動脈とは心臓の血管で、左冠動脈主幹部、左前下行枝、左回旋枝、右冠動脈からなります。冠動脈が詰まると急性心筋梗塞、冠動脈に狭窄がある状態が狭心症です。狭心症には不安定狭心症、労作性狭心症があります。また、冠動脈の痙攣が原因の冠攣縮性狭心症があります。循環器疾患には様々なものがありますが、まずは冠動脈疾患の有無の評価が重要です。

冠動脈はどれも重要な血管なので、「AHA分類」として#1から#15まで全て通し番号が着いています。
・右冠動脈(Right coronary artery: RCA):#1-#4
#1:右冠動脈起始部から鋭縁部までを二等分した近位部
#1から洞結節枝(sinus node branch: SN)、円錐枝(conus branch: CB)が分岐
#2:右冠動脈起始部から鋭縁部までを二等分した遠位部
#2から右室枝(right ventricular branch: RVB)、鋭縁部からは鋭角枝(acute marginal branch: AM)が分岐
#3:右冠動脈鋭縁部から後下行枝(poster descending branch: PD)まで
#4:後下行枝(poster descending branch: PD)
#4から#4AV:房室結節枝(atrioventricular node branch: AVN)が分岐
・左冠動脈(Left coronary artery: LCA):#5-#15
#5:左主幹部(Left main coronary trunk: LMT)
・左前下行枝(Left anterior descending coronary artery: LAD):#6-10
#6:左主幹部から左前下行枝の第一中隔枝(first septal branch: 1st SB)まで
#6から#9:第一対角枝(first diagonal branch: D1)が分岐
#7:第一中隔枝から#10:第ニ対角枝(second diagonal branch: D2)まで
#8:第二対角枝から左前下行枝抹消まで
#9:第一対角枝(first diagonal branch: D1)
#10:第ニ対角枝(second diagonal branch: D2)
・左回旋枝(Left circumflex coronary artery LCX):#11-#15
#11:左主幹部から左回旋枝
#12:鈍角枝(obtuse marginal branch: OM)まで
#12:鈍角枝(obtuse marginal branch: OM)
#13:後側壁枝(posterolateral branch: PL)まで
#14:後下降枝(posterior descending artery: PD

冠動脈CTとは?

冠動脈CTとは、心臓の血管、冠動脈の狭窄の有無と程度を評価する精密検査です。冠動脈疾患の最も頻度の高い検査です。冠動脈の検査には冠動脈CT、心臓MRI、冠動脈カテーテル検査の3種類がありますが、冠動脈カテーテル検査は入院が必要な検査で、心臓MRIは冠動脈の分解能が若干弱いので、冠動脈の検査が目的の場合には冠動脈CTがベストです。
・右冠動脈(Right coronary artery: RCA)
・左冠動脈主幹部(Left main coronary trunk: LMT)
・左冠動脈前下行枝(Left anterior descending coronary artery: LAD)
・左回旋枝(Left circumflex coronary artery: LCX)
検査結果は、上記の冠動脈それぞれに対し、狭窄なし、軽度狭窄、中程度狭窄、有意狭窄、完全閉塞の5段階で、有意狭窄以降は原則、冠動脈造影等の精密検査の適応です。軽度狭窄、中程度狭窄の場合は冠危険因子のコントロールが重要です。お茶の水循環器内科で最も頻度の高く、最も重要な検査です。必要な場合は飯田橋の心臓画像クリニックにて検査を実施します。冠動脈と同時に、心筋、弁の状態も評価したいので、冠動脈CT+心エコーの組み合わせの検査になることが多いです。

冠動脈造影とは?

冠動脈造影とは、心臓の血管、冠動脈の狭窄の有無と程度を最も正確に評価する精密検査です。通常、有意狭窄の診断が既に着いている場合、または有意狭窄が強く疑われる場合に、そのまま冠動脈カテーテル治療も兼ねて実施します。
狭窄度の評価は、上記の冠動脈それぞれに対し、0%(狭窄なし)、0%超25%以下狭窄、25%超50%以下狭窄、50%超75%以下狭窄、75%超90%以下狭窄、90%超99%以下狭窄、100%狭窄(完全閉塞)、7つに分類するAHA分類が重要です。狭窄病変に対しては、冠血流予備量比(Fractional flow reserve: FFR)を測定、虚血の有無の判定、通常、75%以上狭窄かつ虚血を認める場合に、有意狭窄と判定し、血行再建の適応と判断します。最短2泊3日の入院が必要です。また、冠動脈カテーテル検査では、冠動脈の狭窄ではなく、冠動脈の攣縮の有無を判定する冠攣縮誘発試験という検査もあります。適応に関しては主治医とご相談ください。

洞性徐脈

【洞性頻脈とは】
洞性頻脈(sinus bradycardia)とは、心臓の脈が遅い状態です。正常の心臓では、心臓を動かす刺激伝導系は洞結節から始まります。洞結節は、心房の中で周囲に比べて若干くぼみのようになっている結節であるため洞結節(sinus node)または洞房結節(sinoatrial node)と呼びます。正常の心臓では、洞結節からのリズムで動いており、この状態のことを洞調律(sinus rhythm)または正常洞調律(normal sinus rhythm)と呼びます。洞調律の心拍数は自律神経、交感神経、副交感神経の2つによって調整されていて、脈が早くなった状態のことを洞性頻脈(sinus tachycardia)、脈が遅くなった状態のことを洞性徐脈(sinus bradycardia)と呼びます。洞性頻脈と洞性徐脈を合わせて洞性不整脈(sinus arrhythmia)と呼ぶことがあります。
【洞性徐脈の症状】
洞性徐脈の自覚症状は、文字通り、心臓の脈が遅い状態を自覚します。ふらつき、めまい、浮遊感等の自覚症状の原因になります。脈が遅くなると一回一回の脈が大きくなるので、心臓の鼓動を強く感じるようになります。洞調律の心拍数は自律神経によって調整されているので、自律神経の活動の影響を受けていることが特徴です。交感神経活動には、興奮、不安、恐怖、闘争、逃走、怒り、ストレス等の精神的影響、発熱、睡眠不足、運動等の身体的影響などが関係します。副交感神経活動はその逆で、リラックス、睡眠、食事、入浴等が関係します。洞性徐脈のみで失神を来すことは稀ですが、失神しそうな感じ、前失神症状の原因になることがあります。貧血、低血圧等、洞房ブロック、洞停止、徐脈頻脈症候群等の洞不全症候群、徐脈性心房細動、房室ブロック等の他の鑑別が必要な場合があります。
【洞性徐脈の診断】
心電図にて洞調律で、心電図50未満の場合、洞性徐脈の診断となります。人間の安静時の正常な心拍数は60-90程度です。心拍数が50-60程度場合も、徐脈傾向(bradycardia tendency)と言います。睡眠中、極度にリラックスした状態で、心拍数が40-50程度になることは稀ではありません。アスリート、マラソン選手等では安静時の心拍数が低い場合があり、スポーツマンハート、アスリートハート(Athletes heart)などと呼びます。部活動、体育会、トレーニングの習慣がある方も同様の傾向があります。症状出現時の心電図記録を目指して、24時間のホルター心電図検査を行います。別のタイプの不整脈を疑う場合には別のタイプの不整脈ではないかホルター心電図検査、採血等にて検査します。自律神経活動の変動で説明のつかない洞性徐脈の場合には、原因となる基礎疾患がないか精査します。
【洞性徐脈の原因】
洞性徐脈は原則として治療の必要のないものがほとんどです。洞性徐脈の原因として、心臓自体、心臓を動かすホルモン等に異常の疑いがあり、精密検査や治療な必要なもの、心臓には異常がなく直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないものに分かれます。洞性徐脈だと思っていたら他のタイプの不整脈であった、洞性徐脈と他の不整脈の両方であったということも少なくはないため、他の不整脈の可能性も疑って検査をします。
直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないもの:
・薬剤性(β遮断薬、Ca拮抗薬、ジギタリス、他)
・ストレス性(不安神経症、パニック障害、他)
・その他(低血圧症、更年期障害、呼吸性変動、他)
精密検査や治療な必要なもの:
・不整脈(発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)
・不整脈以外の循環器疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、弁膜症、他)
・呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症、他)
・内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎機能異常、低血糖症、他)
・その他(貧血、発熱、自己免疫疾患、他)
【洞性徐脈の原因疾患を認める場合】
治療が必要な原因疾患を認めた場合、原因疾患の治療を優先します。具体的には、薬剤性、甲状腺機能異常、心不全等が原因として認めた場合には、原因疾患の治療を進めます。治療が必要な原因疾患を特に認めない場合、かつ自覚症状がそれほど苦痛ではない場合、洞性頻脈自体は原則として治療の必要はありません。
【洞性徐脈で強い自覚症状を認める場合】
洞性徐脈に一致して強い動悸症状を自覚する場合があります。洞性徐脈だけであれば、心配ないものとわかれば症状もあまり気にならなくなる場合が多いのですが、症状がどうしても気になって生活に支障が出てしまうような場合は、適宜症状を和らげる治療もあります。
まず前提として、基礎心疾患が何もない場合、洞性徐脈だけでは特に命に関わらないものではあるため治療は必須ではありません。しかしながら、洞性徐脈に一致して強い動悸症状を自覚する場合があり、次のような治療法があります。
1、生活習慣の改善
ストレス、緊張、運動、過労、睡眠不足、季節の変わり目、飲酒、喫煙、カフェイン、栄養ドリンクの摂取などの何らかの刺激が関係していることが多いので、誘因となる生活習慣を改善することで症状が軽快することが少なくありません。
2、抗不整脈薬
強い自覚症状を認める場合は、抗不整脈薬があります。脈の速さを調整するβ刺激作用がある薬剤などが中心です。プロタノール(イソプレナリン)、アトロピン、プレタール(シロスタゾール)、テオドール(テオフィリン)、麻黄剤、などがあります。心拍数の上がり過ぎ、不整脈、交感神経刺激作用に注意しながら使います。洞性徐脈はある程度和らぎます。
3、心臓ペースメーカー
自覚症状のない洞性徐脈は治療の必要はありません。しかし、高度の洞性徐脈で失神、前失神を繰り返す場合の治療選択肢として心臓ペースメーカーがあります。適応に関しては専門医の判断になります。
以上、動悸症状の原因として多い洞性徐脈について説明しました。何かわからないことがあれば主治医までご相談ください。

洞性頻脈

【洞性頻脈とは】
洞性頻脈(sinus tachycardia)とは、心臓の脈が早い状態です。正常の心臓では、心臓を動かす刺激伝導系は洞結節から始まります。洞結節は、心房の中で周囲に比べて若干くぼみのようになっている結節であるため洞結節(sinus node)または洞房結節(sinoatrial node)と呼びます。正常の心臓では、洞結節からのリズムで動いており、この状態のことを洞調律(sinus rhythm)または正常洞調律(normal sinus rhythm)と呼びます。洞調律の心拍数は自律神経、交感神経、副交感神経の2つによって調整されていて、脈が早くなった状態のことを洞性頻脈(sinus tachycardia)、脈が遅くなった状態のことを洞性徐脈(sinus bradycardia)と呼びます。洞性頻脈と洞性徐脈を合わせて洞性不整脈(sinus arrhythmia)と呼ぶことがあります。
【洞性頻脈の症状】
洞性頻脈の自覚症状は、文字通り、心臓の脈が早い状態を自覚します。ドキドキ、バクバク、脈が早いという自覚症状です。洞調律の心拍数は自律神経によって調整されているので、自律神経の活動の影響を受けていることが特徴です。興奮、不安、恐怖、闘争、逃走、怒り、ストレス等の精神的影響、発熱、睡眠不足、運動等の身体的影響などが関係します。洞性頻脈の心拍数の上昇は徐々に心拍数が上がり、徐々に心拍数が下がることが特徴です。突然、心拍数が2倍や3倍に跳ね上がる場合、洞性頻脈とは異なる症状の疑いがある場合には、発作性上室性頻拍、発作性心房細動、心室頻拍等の別のタイプの不整脈を疑います。
【洞性頻脈の診断】
心電図にて洞調律で、心電図100以上の場合、洞性頻脈の診断となります。人間の安静時の正常な心拍数は60-90程度です。心拍数が100に満たない場合も、心拍数85、90程度でも同様に動悸症状を自覚することがあり、頻脈傾向(tachycardia tendency)と言います。動悸症状が発作時に起こる場合には、24時間のホルター心電図検査等にて症状出現時の心電図記録によって診断します。別のタイプの不整脈を疑う場合には別のタイプの不整脈ではないかホルター心電図検査、採血等にて検査します。運動や精神的緊張で説明のつかない洞性頻脈の場合には、原因となる基礎疾患がないか精査します。
【洞性頻脈の原因】
洞性頻脈の原因は多岐に渡ります。大きく心臓自体、心臓を動かすホルモン等に異常の疑いがあり、精密検査や治療な必要なもの、心臓には異常がなく直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないものに分かれます。洞性頻脈だと思っていたら他のタイプの不整脈であった、洞性頻脈と他の不整脈の両方であったということも少なくはないため、他の不整脈の可能性も疑って検査をします。
直接命に関わらないもの、経過観察で問題ないもの:
・薬剤性(カフェイン、煙草、アルコール、他)
・ストレス性(不安神経症、過換気症候群、パニック障害、他)
・その他(低血圧症、更年期障害、呼吸性変動、他)
精密検査や治療な必要なもの:
・不整脈(発作性上室性頻拍、発作性心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)
・不整脈以外の循環器疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、弁膜症、他)
・呼吸器疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症、他)
・内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎機能異常、低血糖症、他)
・その他(貧血、発熱、自己免疫疾患、他)
【洞性頻脈の原因疾患を認める場合】
治療が必要な原因疾患を認めた場合、原因疾患の治療を優先します。具体的には、貧血、甲状腺機能異常、肺塞栓症、心不全等が原因として認めた場合には、原因疾患の治療を進めます。治療が必要な原因疾患を特に認めない場合、かつ自覚症状がそれほど苦痛ではない場合、洞性頻脈自体は原則として治療の必要はありません。
【洞性頻脈で強い自覚症状を認める場合】
洞性頻脈に一致して強い動悸症状を自覚する場合があります。洞性頻脈だけであれば、心配ないものとわかれば症状もあまり気にならなくなる場合が多いのですが、症状がどうしても気になって生活に支障が出てしまうような場合は、適宜症状を和らげる治療もあります。
まず前提として、基礎心疾患が何もない場合、洞性頻脈だけでは特に命に関わらないものではあるため治療は必須ではありません。しかしながら、洞性頻脈に一致して強い動悸症状を自覚する場合があり、次のような治療法があります。
1、生活習慣の改善
ストレス、緊張、運動、過労、睡眠不足、季節の変わり目、飲酒、喫煙、カフェイン、栄養ドリンクの摂取などの何らかの刺激が関係していることが多いので、誘因となる生活習慣を改善することで症状が軽快することが少なくありません。
2、抗不整脈薬
強い自覚症状を認める場合は、抗不整脈薬があります。脈の速さや強さを和らげる作用のβ遮断薬などが中心です。メインテート(ビソプロロール)、アーチスト(カルベジロール)、テノーミン(アテノロール)、インデラル(プロプラノロール)、アロチノロール(アロチノロール)、などがあります。洞性頻脈はある程度和らぎます。
3、心療内科、産業医
不安、緊張等の精神的影響が強い場合、恐怖感、強迫感が強い場合などには抗不安薬等を使う場合がありますが、心療内科へ紹介して精神的ストレスに対して診てもらっています。時間外労働、過重労働、職場のストレス、労働環境等が原因の場合は職場の産業医へ相談します。
以上、動悸症状の原因として多い洞性頻脈について説明しました。何かわからないことがあれば主治医までご相談ください。

腎動脈狭窄症

【腎動脈狭窄症とは】
腎動脈狭窄症とは、腎動脈に狭窄を起こした状態です。腎臓の血流低下から腎機能障害、腎前性腎不全の原因となったり、腎動脈の血流低下から腎臓や副腎からのホルモンが亢進、腎血管性高血圧の原因となることがあります。腎動脈狭窄症自体の特有の自覚症状はありません。二次性高血圧のスクリーニング検査の一貫として、理由の説明出来ない腎機能低下、理由の説明出来ない心不全等を見た場合等に腎動脈の狭窄の有無を調べます。
【腎動脈狭窄症の検査】
腎動脈エコー、腎動脈MRI、腎動脈CT等にて腎動脈狭窄の有無と程度を評価します。腎動脈エコーは簡便で無侵襲ですが、肥満の場合など血管が詳しく見えない場合があります。腎動脈MRIは侵襲がなく、安全です。さらに詳しく検査としては腎動脈血管造影検査もあります。
【腎動脈狭窄症の治療】
腎動脈狭窄症の治療としては、保存的治療と侵襲的治療があります。
・カルシウム拮抗薬
アムロジン(アムロジピン)、アダラート(ニフェジピン)、コニール(ベニジピン)、等
まずは血管拡張作用、カルシウム拮抗薬にて腎動脈の狭窄を解除、血圧コントロールを図ります。腎動脈狭窄症に対して、保存的治療で腎機能、血圧がコントロール可能な場合もあります。
・経皮的腎動脈形成術
カテーテルで腎動脈へアプローチ、バルーン拡張術で腎動脈を直接広げ、場合によっては腎動脈ステント留置術を行うことで、腎動脈の狭窄を解除します。腎動脈カテーテル、腎動脈ステント留置を行うかどうかは専門医の判断となります。必要な場合は専門科へ紹介しています。
【腎動脈狭窄症の予防】
腎動脈狭窄症は明らかな原因が特定出来ない場合、大動脈疾患に続発する場合、動脈硬化性などが関連しています。
・高血圧症→https://循環器内科.com/ht
・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl
・糖尿病→https://循環器内科.com/dm
・喫煙→https://循環器内科.com/smoking
・大量飲酒→https://循環器内科.com/ld
一般に、動脈硬化の危険因子がある場合は、腎動脈狭窄症に限らず、冠動脈、頸動脈、脳血管の動脈硬化のリスクです。修正可能な危険因子があれば管理することが大切です。

頚動脈狭窄症

【頸動脈狭窄症とは】
頸動脈狭窄症とは、頸部にある頸動脈が狭窄を起こした状態です。脳梗塞のリスク、脳血流低下の原因となります。頸動脈狭窄症には脳血流低下の症状がある症候性頸動脈狭窄症と、特に症状のない無症候性頸動脈狭窄症があります。また、全身の動脈硬化の指標でもあり、頸動脈にプラークを認める場合には冠動脈、脳血管等、他の血管に動脈硬化がないか調べるきっかけになります。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000303.html
【頸動脈狭窄症の検査】
まずは頸動脈エコー検査にて頸動脈の狭窄の有無、狭窄のある場合は狭窄の程度を評価します。無侵襲であり、何度でも繰り返し評価が可能、全身の動脈硬化の指標としても有用です。脳血管も含めた評価を行う場合には頭部MRI検査、頭部造影CT検査、さらなる詳細な評価を行う場合には脳血管造影検査があります。頸動脈狭窄症の原因としては高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒等の動脈硬化の危険因子があります。必要に応じて採血にて脂質、血糖を評価します。
【頸動脈狭窄症の治療】
まずは頸動脈狭窄症の危険因子として、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒等の動脈硬化性の危険因子があれば危険因子に対して治療介入を開始します。詳しくは下記ページをご覧ください。
・高血圧症→https://循環器内科.com/ht
・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl
・糖尿病→https://循環器内科.com/dm
・喫煙→https://循環器内科.com/smoking
・大量飲酒→https://循環器内科.com/ld
特に、禁煙とコレステロールの管理が最も重要です。LDLコレステロールを十分に低下させることによって頸動脈プラークは徐々に退縮することが知られています。
・バイアスピリン(アスピリン)、プラビックス(クロピドグレル)、エフィエント(プラスグレル)、プレタール(シロスタゾール)、パナルジン(チクロピジン)、他
頸動脈狭窄症で血栓症リスクが高いと判断される場合には、血栓予防のために抗血小板薬を開始します。抗血小板薬には血栓予防のメリットと出血のデメリットがあるため、主治医とよく相談して決めましょう。
抗血小板療法→https://循環器内科.com/apt
頸動脈狭窄症の狭窄率が軽度から中程度の場合にはまずは危険因子の管理を優先します。
【頸動脈狭窄症の手術】
頸動脈狭窄症の狭窄率が重度の場合には外科的治療の適応を考慮します。頸動脈狭窄症の外科的治療としては、頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy: CEA)、頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting: CAS)があります。手術適応に関しては専門医の判断になりますが、症候性頸動脈狭窄症では狭窄率50%以上、無症候性頸動脈狭窄症では狭窄率70%以上が一つの目安になります。頸動脈内膜剥離術が良いか、頸動脈ステント留置術が良いかはどちらも一長一短で、総合的に個別判断となります。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph72.html
【頸動脈狭窄症の予防】
頸動脈狭窄症の予防は動脈硬化の予防です。動脈硬化の危険因子とは、具体的に高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒です。動脈硬化性の危険因子があれば危険因子に対して治療介入を開始します。詳しくは下記ページをご覧ください。
・高血圧症→https://循環器内科.com/ht
・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl
・糖尿病→https://循環器内科.com/dm
・喫煙→https://循環器内科.com/smoking
・大量飲酒→https://循環器内科.com/ld
逆に上記のような動脈硬化性の危険因子を認める場合にはどこかで一度頸動脈狭窄症がないか頸動脈エコーにて調べておくと良いでしょう。詳しくは主治医までご相談ください。

ウエアラブル心電計

【ウエアラブル心電計とは】
ウエアラブル心電計(Wearable electrocardiogram)とは、日常生活の中で身体に密着して心電図を測定、モニタリング、記録可能な心電計です。動悸や胸痛などの症状が発作性に出る場合、診断のためには症状出現時の心電計記録が重要になります。今回は、症状出現時の心電図記録の方法の一つとして、ウエアラブル心電計を紹介します。

【症状出現時の心電図記録の方法】
症状出現時の心電図記録には下記のように主に5つの方法があります。いずれかの方法で症状出現時の心電図記録を目指します。

1、来院時心電図

2、ホルター心電図

3、携帯型心電計

4、ウエアラブル心電計

5、埋込型心電計

※電気生理学的検査

症状出現時の心電図記録がどうしても難しい場合には、不整脈を誘発する電気生理学的検査という手段もあります。

【ホルター心電図】
ホルター心電図(Holter electrocardiography: Holter ECG)は、24時間または7日間の心電図検査です。24時間の間に1回以上、7日間の間に1回以上、症状が出現する場合は、症状出現時の心電図記録が出来れば診断可能であることが予測出来ます。ホルター心電図を何回か繰り返し行う場合もあります。症状の頻度が少ない場合は携帯型心電計の適応を検討します。詳しくはホルター心電図、携帯型心電計のページをご覧ください。
ホルター心電図→https://循環器内科.com/holter
携帯型心電計→https://循環器内科.com/hcg
問題は、ホルター心電図を何度か繰り返し行っても症状出現時の心電図記録が捕まらない場合、症状の出方によっては症状出現時の心電図記録が難しい場合があります。携帯型心電計によっても、症状が一瞬で終わってしまい携帯型心電計では間に合わない、電車内や職場環境によっては携帯型心電計を取り出しにくい記録が難しい等、携帯型心電計で症状出現時の心電図記録が難しい場合、ウエアラブル心電計の適応を検討します。

【アップルウォッチ】(Apple Watch Series 4以降)

ウエアラブル心電計の一つとして「アップルウォッチ」を紹介します。2018/9/21発売のアップルウォッチ「Apple Watch Series 4」以降、「Apple Watch Series 5」、2020/9/18発売の「Apple Watch Series 6」には「心電図機能」が搭載されています。お茶の水循環器内科では、アップルウォッチにて症状出現時の心電図記録に成功し、不整脈の確定診断が着き、治療方針が明確になった方、その後カテーテルアブレーション治療へ進み、症状が治癒した方、カテーテルアブレーション後の再発モニタリングに活用している方など何名かいます。アップルウォッチはご自身でご用意いただく必要があります。購入した場所と「watchOSで利用できる機能」は以下の公式ページで確認可能です。下記の地域で購入、アクティベートしたアップルウォッチは心電図機能が使えます。
https://www.apple.com/jp/watchos/feature-availability/#branded-ecg
https://www.apple.com/jp/watchos/feature-availability/#branded-atrail-fib
2020/10/5現在、日本の記載はありませんが、2020/9/4、日本においてアップルウォッチは「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」が医療機器承認取得、今後対応してくることが予想されます。詳しくは以下のページをご覧ください。
「2020/9/4、アップルの「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」が医療機器承認を取得しました。」https://ochanomizunaika.com/19158
「お茶の水循環器内科の「アップルウォッチ外来」について具体的にまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/19244

【アップルウォッチ以外のウエアラブル心電計】
アップルウォッチ以外にもいくつかのメーカーからウエアラブル心電計がありますが、「心電」(electrocardiogram: ECG)が測定可能であるものを確実に選んでください。「心拍」(Heart Rate: HR)、「脈拍」(Pulse Rate: PR)が測定可能なリストバンド式のウエアラブルデバイス等はたくさんありますが、不整脈の診断においては「心拍計」「脈拍計」ではなく「心電計」であることが重要です。具体的には、三栄メディシス「Checkme ECG」、ユニオンツール「MyBeat ホームECG」、東レ・NTT「hitoe」などがあります。海外のものも色々ありますが、日本における管理医療機器認証を取得しているものが望ましいでしょう。

【埋込型心電計】
来院時心電図、ホルター心電図、携帯型心電計、ウエアラブル心電計等でも症状出現時の心電図記録がどうしても捕まらない場合、埋込型心電計(Insertable cardiac monitor: ICM)という選択肢があります。最長3年間のバッテリー、症状出現時の心電図を確実に記録します。体内にセンサーを埋込むので手術の必要があること、飛行機の操縦士、新幹線の運転、トラックの運転、高所作業などに関わる仕事の方は、一回の発作が重大な事故を引き起こす危険性があるため、確実な診断が必要な場合があります。必要な場合は専門の医療機関へ紹介します。詳しくは埋込型心電計のページをご覧ください。
埋込型心電計→https://循環器内科.com/icm

【電気生理学的検査】
電気生理学的検査(Electrophysiological study: EPS)とは、カテーテルを用いて心臓の電気活動を詳しく調べる検査です。入院が必要な検査ですが、症状出現時の心電図記録がどうしても難しい場合には、不整脈を誘発して調べることが可能です。電気生理学的検査にて不整脈の誘発を認める場合には不整脈の種類によりますが、そのままカテーテル治療へ進むことが出来ることがメリットです。詳しくは電気生理学的検査のページをご覧ください。
電気生理学的検査→https://循環器内科.com/eps


心臓アミロイドーシス

【アミロイドーシスとは】
アミロイドーシス(Amyloidosis)とは、 アミロイド(Amyloid) という折りたたみ異常を起こした前駆蛋白質が、アミロイド線維を形成し、全身のさまざまな臓器に沈着することで機能障害を起こす疾患の総称です。アミロイドーシスの中で、特に心臓に限局してアミロイドが沈着した状態、または全身性アミロイドーシスのうちの心臓病変のことを心臓アミロイドーシス(Cardiac Amyloidosis)と言います。詳しくは日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」→https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf
【心臓アミロイドーシスの診断】
アミロイド前駆蛋白は現在30種類以上特定されていますが、心臓アミロイドーシスを来すものは主に以下の4つがあります。
・ALアミロイドーシス
・ATTRwtアミロイドーシス(旧病名:老人性全身性アミロイドーシス)
・ATTRvアミロイドーシス(旧病名:家族性アミロイドポリニューロパチー)
・AAアミロイドーシス

原因は、それぞれ、免疫グロブリン自由軽鎖、野生型TTR、変異型TTR、血清アミロイドA蛋白です。循環器内科として重要なのは、心不全の原因疾患の一つとして心臓アミロイドーシスがあること、特に左室駆出率が保たれた心不全( heart failure with reduced ejection fraction: HFrEF)の基礎疾患の一つとして心臓アミロイドーシスの存在があるからです。
【心臓アミロイドーシスの検査】
アミロイドーシスの診断は、アミロイドの沈着の証明とアミロイド沈着による臓器障害の2つです。心臓アミロイドーシスの臓器特異的症状として、臨床症状としては息切れ、浮腫、眩暈、失神等の心不全症状があります。検査所見としては、心房細動、刺激伝導障害(房室ブロック、脚ブロック、心室内伝導障害)、心室性不整脈、低電位、 心室壁肥厚、心房中隔肥厚、心室拡張障害、心膜液貯留、弁肥厚、血中BNP/NT-proBNP高値、心臓MRIにおける左室心内膜下のびまん性遅延造影等があります。

いずれも非特異的所見なので、原因不明の心不全を見た場合に心臓アミロイドーシスの可能性を鑑別に入れることが大切です。 心臓アミロイドーシス以外の全身症状としては、腎機能障害、肝機能障害、神経症状、手根管症候群、脊柱菅狭窄症等、多岐に渡ります。症状、心電図、採血、心エコー等の所見から心臓アミロイドーシスを疑った場合は、心臓MRIを追加することが多いです。心臓MRIでは下記のような特徴的な所見が報告されています。

さらに専門的検査としては、ピロリン酸シンチグラフィ、I-MIBGシンチグラフィ、アミロイドPET、 確定診断のための検査としては心筋生検も含む組織生検、病理組織検査、タンパク質分析、遺伝子検査等があります。専門的な精密検査になりますので、必要があれば紹介します。
詳しくは日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」→https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf
【心臓アミロイドーシスの治療】
心臓アミロイドーシスの臓器障害としては、心不全と不整脈の2つがあります。
心不全を来した心臓アミロイドーシスに対しては、心不全の治療に準じますが、いくつか注意点があります。
・ジギタリス製剤は禁忌
・ベラパミル、ジルチアゼム、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は心機能低下例には注意
・ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド阻害薬、利尿薬は心不全の標準治療に準して使用
・心房細動等の不整脈に対しては血栓症のリスクに応じて抗凝固療法、カテーテルアブレーションも選択肢として考慮
・洞不全症候群、高度房室ブロックに対してペースメーカー、致死的不整脈に対して埋込み型除細動器
・アミロイドーシスに対する専門的治療、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー、ATTR心臓アミロイドーシス(野生型および変異型) に対してタファミジス、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーに対してパチシラン、ALアミロイドーシスに対する自家末梢血幹細胞移植併用大量メルファラン療法、ATTRvアミロイドーシスに対する肝移植等がありますが、高度に専門的な治療になりますので、紹介します。
詳しくは日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン」→https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf


心臓サルコイドーシス

【サルコイドーシスとは】
サルコイドーシス(Sarcoidosis)とは、全身に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫という特徴的な病変が出来る病気です。サルコイドとはラテン語で「肉のようなもの」という意味で、それが全身に出来ることをサルコイドーシスと言います。原因は不明ですが、免疫系が関係があるのではないかと考えられています。自覚症状ありが60-70%、30-40%が検診等で見つかる自覚症状なしです。自覚症状としては、臓器特異的症状と、臓器非特異的な全身症状の2つがあり、後者としては、全身倦怠感、体重減少、微熱、寝汗、疼痛、息切れなどがありますが、はっきりしないことも多いです。臓器特異的症状として、眼、肺、心臓、神経、皮膚、筋肉、骨、腎臓、消化管などがあります。特にサルコイドーシスの心臓病変のことを「心臓サルコイドーシス」と呼びます。

【心臓サルコイドーシスとは】
心サルコイドーシス(Cardiac sarcoidosis)とは、サルコイドーシスの心臓病変ことであり、サルコイドーシス全体の25%程度と報告されています。心臓のサルコイドーシスの場所によりますが、刺激伝導系の障害では、脚ブロック、房室ブロックが起こることがあります。心室の障害としては、心室性不整脈として、心室期外収縮、心室頻拍、心室細動などがあります。心筋の障害としては、心機能低下、収縮機能障害、拡張機能障害のいずれも起こることがあり、心不全症状を来します。血清ACE、血清リゾチーム、BNPまたはNP-proBNP、sIL-2R、胸部レントゲン、胸部CT、心電図、心エコー、心臓MRI、F-FDG PET、Ga citrate シンチグラフィ、心臓カテーテル検査、電気生理学的検査、心筋生検の適応を考えます。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf

【サルコイドーシスの診断】
サルコイドーシスの診断はやや複雑ですが、類上皮細胞肉芽腫の組織診断がなされているものか、まはた肺、眼、心臓のうち2つ以上を認めるものです。
組織診断群:
・全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が陽性
・既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できているもの
臨床診断群:
類上皮細胞肉芽腫病変は証明されていないが、呼吸器、眼、心臓の3臓器中の2臓器以上において本症を強く示唆 する臨床所見を認め、かつ、特徴的な検査所見の5項目中2項目以上が陽性のもの:
1、両側肺門リンパ節腫脹
2、血清ACE活性高値または血清リゾチーム値高値
3、sIL-2R高値
4、67Ga citrate シンチグラフィまたは18F-FDG PET における著明な集積所見5、BAL検査でリンパ球比率上昇、CD4/CD8 比が3.5を超える上昇
これらの検査でサルコイドーシスが疑われた場合には、専門医に紹介します。

【心臓サルコイドーシスの診断】
心臓サルコイドーシスの診断基準としては、以下の基準があります。

心臓サルコイドーシスの診断指針
心臓病変の臨床所見
心臓所見は主徴候と副徴候に分けられる。次の 1)または 2)のいずれかを満たす場合、心臓病変を強く示唆する臨床所見とする。
1)主徴候(a)~(e)5項目中2項目以上が陽性の場合
2)主徴候(a)~(e)5項目中1項目が陽性で、副徴候(f)~(h)3項目中2項目以上が陽性の場合
1.主徴候
(a)高度房室ブロック(完全房室ブロックを含む)または致死性心室性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動など)
(b)心室中隔基部の菲薄化または心室壁の形態異常(心室瘤、心室中隔基部以外の菲薄化、心室壁の局所的肥厚)
(c)左室収縮不全(左室駆出率50%未満)または局所的心室壁運動異常
(d)Ga citrateシンチグラフィまたはF-FDG PET での心臓への異常集積
(e)ガドリニウム造影MRIにおける心筋の遅延造影所見
2.副徴候
(f) 心電図で心室性不整脈(非持続性心室頻拍、多源性あるいは頻発する心室期外収縮)、脚ブロック、軸偏位、異常Q波のいずれかの所見
(g)心筋血流シンチグラフィ(SPECT)における局所欠損
(h)心内膜心筋生検:単核細胞浸潤および中等度以上の心筋間質の線維化
心臓サルコイドーシスの診断指針
1)組織診断(心筋生検陽性)
心内膜心筋生検あるいは手術などによって心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められる場合、心臓サルコイドーシス(組織診断)とする。
2)臨床診断(心筋生検陰性または未施行)
(1)心臓以外の臓器で類上皮細胞肉芽腫が陽性であり,かつ上記の心臓病変を強く示唆する臨床所見を満たす場合
または
(2)呼吸器系あるいは眼でサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見があり、かつ特徴的な検査所見の5項目中2項目以上が陽性であって、上記の心臓病変を強く示唆する臨床所見を満たす場合に、心臓サルコイドーシス(臨床診断)とする。
付記
1、虚血性心疾患と鑑別が必要な場合は、冠動脈検査(冠動脈造影、冠動脈CTあるいは心臓MRI)を施行する。
2、心臓以外の臓器でサルコイドーシスと診断後、数年を経て心臓病変が明らかになる場合がある。そのため定期的に心電図、心エコー検査を行い、経過を観察する必要がある。
3、心臓限局性サルコイドーシスが存在する。
4、F-FDG PETは、非特異的(生理的)に心筋に集積することがあるため撮像条件に注意が必要である。撮像方法は、日本心臓核医学会の「心臓サルコイドーシスに対する 18F FDG PET 検査の手引き」に準拠する。
5、乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が心内膜心筋生検で観察される症例は必ずしも多くない。したがって複数のサ ンプルを採取することが望ましい。
6、心内膜心筋生検あるいは手術などによって心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められ、かつ、既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できている場合、サルコイドーシスの組織診断群として扱う。
7、F-FDG PETの現在の保険適用の範囲は、「心臓サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者」と規定されていることに注意が必要である。
さらに、心臓限局性サルコイドーシスがあることが報告されており、「心臓限局性サルコイドーシス診断の手引き」があります。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf

【サルコイドーシスの治療】
治療に関しては専門医に紹介しますが、無治療で経過観察を行う場合から、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬が必要になる場合まで幅広くあります。
心臓サルコイドーシスでは、伝導障害と、心室性不整脈の2つが問題となります。
・房室ブロックは心臓サルコイドーシスの症状として最も多く、高度房室ブロックではペースメーカーの適応を考慮します。
・心室頻拍は心臓サルコイドーシスの症状として房室ブ ロックの次に多く、約 23%に出現すると報告されています。持続性心室頻拍を認めた場合には、埋込み型除細動器の適応を考慮します。または、一般的にβブロッカーを使います。
他に、カテーテルアブレーション、心臓再同期療法、外科的治療、植込型補助人工心臓、心臓移植があります。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf


虚血性心疾患

【虚血性心疾患とは】
虚血性心疾患(Ischemic Heart Disease: IHD)とは、心臓への血流が悪くなった状態です。虚血(Ischemia)とは、普段あまり聞き慣れない日本語かも知れませんが、血流が十分に行き渡っていない状態のことを言います。心臓の筋肉への血流は、冠動脈という血管によって維持されており、冠動脈が狭窄を起こしたり、閉塞を起こす冠動脈疾患とほぼ同じ意味で使われますが、冠攣縮性狭心症のように冠動脈狭窄を伴わないものも含める場合があります。また、心筋梗塞を起こした後に心臓の動きが悪くなった状態、冠動脈疾患による心不全も虚血性心疾患に含める場合もあります。虚血性心疾患とは、心臓への血流が悪くなって起こる全ての心臓病の総称です。
【虚血性心疾患の症状】
虚血性心疾患の症状は、急性心筋梗塞や狭心症などの急性冠症候群の急性期の症状と、慢性冠症候群や慢性心不全などの慢性期の症状の2つに分けることが出来ます。急性冠症候群の症状は、急な胸の痛み、胸の絞扼感、胸の圧迫感などです。詳しくは急性冠症候群、急性心筋梗塞、不安定狭心症のページをご覧ください。
急性冠症候群→https://循環器内科.com/acs
急性心筋梗塞→https://循環器内科.com/ami
不安定狭心症→https://循環器内科.com/uap
冠攣縮性狭心症→https://循環器内科.com/vsa
虚血性心疾患に、冠動脈疾患による心疾患も含める場合があります。慢性冠症候群や慢性心不全の症状は、息切れ、疲れやすさ、むくみ、動悸などです。詳しくは労作性狭心症、陳旧性心筋梗塞、心不全のページをご覧ください。
労作性狭心症→https://循環器内科.com/eap
陳旧性心筋梗塞→https://循環器内科.com/omi
心不全→https://循環器内科.com/hf
【虚血性心疾患の診断】
虚血性心疾患の診断は、心臓の血流が悪くなっているかどうかを調べます。心電図、心筋トロポニン検査、冠動脈CT、心臓MRI、冠動脈カテーテル検査などを組み合わせて行います。最も重要な検査は、心臓の血管、冠動脈の狭窄の有無や程度を調べる冠動脈CT、冠動脈カテーテル検査です。
心電図→https://循環器内科.com/ecg
心筋トロポニン→https://循環器内科.com/bloodtest
冠動脈CT→https://循環器内科.com/cta
心臓MRI→https://循環器内科.com/cmri
冠動脈カテーテル検査→https://循環器内科.com/ami
【虚血性心疾患の治療】
虚血性心疾患の治療として、特に急性期の治療、急性冠症候群の治療を説明します。急性心筋梗塞に準じて治療を開始します。
循環器内科の大きな病院で、カテーテル検査によって詰まった血管に対し、そのままバルーン拡張、ステント留置などカテーテル治療を行います。外科的に冠動脈バイパス術が行われることがあります。急性期治療までのつなぎとして以下の初期治療を行います。
・バイアスピリン(アスピリン)、プラビックス(クロピドグレル)、エフィエント(プラスグレル)、抗血小板薬という薬です。血栓が出来て、心筋梗塞が広がることを少しでも防ぎます。急性心筋梗塞と診断し次第、バイアスピリン腸溶錠100mgを3Tから4Tを噛み砕いて舌下投与します。
・硝酸薬、ニトロペン(ニトログリセリン)、ニトロール(硝酸イソソルビド)、ミオコールスプレー(ニトログリセリン)、、硝酸薬と呼ばれる狭心症治療薬です。冠動脈拡張作用で、発作を解除します。静脈拡張作用により心臓への負荷を軽減する効果もあります。ニトロペンは舌下錠、ニトロールやミオコールはスプレーがあります。
・スタチン、クレストール(ロスバスタチン)、リピトール(アトルバスタチン)、リバロ(ピタバスタチン)、全身の血管から悪玉コレステロールを回収し、動脈硬化予防、心筋梗塞を強力に抑制します。背景に脂質異常症があり、カテーテルの受診までに日数がある場合使います。
スタチン→https://循環器内科.com/statin
・βブロッカー、アーチスト(カルベジロール)、メインテート(ビソプロロール)、インデラル(プロプラノロール)、交感神経をブロックし、心筋への過度な負担を和らげます。致死的不整脈の出現を抑制することもわかっています。
・酸素投与、低酸素血症がある例に対して酸素投与、冠攣縮性狭心症の関与を疑う場合のカルシウム拮抗薬の投与など、
・心肺蘇生、心停止例や心停止からの蘇生例に対しては心停止時には速やかに心肺蘇生が開始出来るようにモニタリングを行います。
心肺蘇生→https://循環器内科.com/cpr
・禁煙、動脈硬化の最大の悪化因子です。喫煙者には禁煙が必要です。
喫煙→https://循環器内科.com/smoking
虚血性心疾患に心筋梗塞後の心不全も含める場合があります。急性心筋梗塞後に一番の問題は急性心筋梗塞の再発です。
ここでは、急性心筋梗塞の治療として一番多いケースとして、冠動脈カテーテル治療を行い、ステント留置を行ったケースとして代表的な治療法を説明します。一番の目的は急性心筋梗塞の再発予防です。冠危険因子に対して適切な治療を行うことに加えて、特にステント留置を行った場合には、ステント留置後のステント内再狭窄(ISR: Intra-Stent Restenosis)を防ぐために、抗血小板薬二剤併用療法(DAPT: Dual Anti-Platelet Therapy)が重要です。
・バイアスピリン、エフィエント(プラスグレル)
抗血小板薬二剤併用療法(Dual Anti-Platelet Therapy: DAPT)と言います。通常、バイアスピリン(アスピリン)をベースの一剤として、プラビックス(クロピドグレル)かエフィエント(プラスグレル)かもう一剤を併用します。通常、ステント留置から6ヶ月後から12ヶ月後に、再度フォローアップの冠動脈造影を行います。
・バイアスピリン
フォローアップの冠動脈造影にてステント内再狭窄を認めないことを確認後、DAPTからSAPTに切り替え可能かどうか判断します。個々の症例によってケースバイケースですが、多くの場合PCI後DAPT、9ヶ月後前後に冠動脈造影、問題なければSAPTに切り替えを行います。SAPT(Single Anti-Platelet Therapy)は原則として生涯継続が必要です。
・禁煙、喫煙は明らかに心筋梗塞、心筋梗塞の再発のリスク因子です。煙草は辞めましょう。
・硝酸薬、ニトロペン(ニトログリセリン)、ニトロール(硝酸イソソルビド)、フランドルテープ(硝酸イソソルビド貼付薬)、ニトロダーム(ニトログリセリン)、ミオコールスプレー(ニトログリセリン)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、硝酸薬と呼ばれる狭心症治療薬です。冠動脈拡張作用で、発作を解除します。ニトロペンは舌下錠、ニトロールやミオコールはスプレー剤、フランドルはテープ剤があります。
・スタチン、クレストール(ロスバスタチン)、リピトール(アトルバスタチン)、リバロ(ピタバスタチン)、脂質を下げて、動脈硬化を予防します。
・βブロッカー、アーチスト(カルベジロール)、メインテート(ビソプロロール)、テノーミン(アテノロール)、心臓の脈や収縮力を適度に落として心臓を休ませ、心筋梗塞の再発を防ぎます。
・PPI、タケプロン(ランソプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、抗血小板薬による胃潰瘍を防ぐため、制酸薬を併用します。
その他、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの危険因子があればそれぞれ治療を行います。下記、典型的な例として、高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の冠危険因子を複数認め、かつ、急性心筋梗塞後に慢性心不全を発症しているケースとして説明します。
・ACE阻害薬、レニベース(エナラプリル)、タナトリル(イミダプリル)、降圧薬であると同時に、心筋のリモデリングを抑制し、慢性心不全の悪化を防ぐ効果があります。拡張型心筋症、肥大型心筋症等の心筋症に対しては進行抑制効果を期待して使います。
・ARB、アジルバ(アジルサルタン)、オルメテック(オルメサルタン)、ブロプレス(カンデサルタン)、降圧薬であると同時に、心筋のリモデリングを抑制し、慢性心不全の悪化を防ぐ効果があります。拡張型心筋症、肥大型心筋症等の心筋症に対しては進行抑制効果を期待して使います。
・アルドステロン拮抗薬、ACE阻害薬、ARBと同様、心筋のリモデリングを抑制し、慢性心不全の悪化を防ぐ効果があります。アルダクトン(スピロノラクトン)、セララ(エプレレノン)があります。
・利尿薬、余分な水分を体外に排出し、心臓への負担を軽減します。肺うっ血やむくみがある場合にも使います。ラシックス(フロセミド)、フルイトラン(トリクロルメチアジド)、ナトリックス(インダパミド)、サムスカ(トルバプタン)などがあります。
・カルシウム拮抗薬、アムロジン(アムロジピン)、アダラート(ニフェジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ワソラン(ベラパミル)、降圧薬であると同時に、冠動脈拡張作用を期待して使います。冠攣縮性狭心症を合併している場合には冠動脈拡張作用のために使います。
・ゼチーア(エゼチミブ)、エパデール(イコサペント酸エチル)、ロトリガ(オメガ‐3脂肪酸エチル)、脂質改善薬です。スタチンで十分に脂質が改善していない場合に追加します。ゼチーアは小腸のコレステロールトランスポーターに作用し、脂質の吸収を阻害します。エパデール、ロトリガは良質な脂肪酸で、主に善玉コレステロールを改善します。
・SGLT2阻害薬、ジャディアンス(エンパグリフロジン)、カナグル(カナグリフロジン)、糖尿病治療薬です。利水効果、心不全に対してよい効果があることがわかって来ています。現在、慢性心不全に対して適応はありませんが、今後慢性心不全に対して使われる可能性があります。
・ジャヌビア(シタグリプチン)、トラゼンタ(リナグリプチン)、エクア(ビルダグリプチン)、アマリール(グリメピリド)、経口血糖降下薬です。SGLT2阻害薬で十分に血糖が改善しない場合に追加します。経口血糖降下薬には多数あるので、適宜病状に合ったものを追加します。メトグルコ(メトホルミン)は経口血糖降下薬の基本薬ですが、造影剤と相性が悪いため、急性心筋梗塞後のようにまたいつ造影検査をするかわからない状態では使わないという判断をすることもあります。
・抗不整脈薬、慢性心不全の原因として不整脈、または慢性心不全の結果、不整脈がある場合、抗不整脈薬を使います。アンカロン(アミオダロン)、シベノール(シベンゾリン)、シンビット(ニフェカラント)、他多数の抗不整脈薬があります。
・抗凝固薬、心機能が高度に低下している場合、慢性心不全の結果、心房細動がある場合、脳梗塞予防のため抗凝固療法が必要になります。僧帽弁狭窄症などの弁膜症が原因の弁膜症心房細動にはワーファリン(ワルファリン)、非弁膜症心房細動(Non valvular atrial fibrillation: NVAF)には、エリキュース(アピキサバン)、プラザキサ(ダビガトラン)、リクシアナ(エドキサバン)、イグザレルト(リバロキサバン)、ワーファリン(ワルファリン)を使います。
・経口強心薬、ジゴシン(ジゴキシン)、心筋収縮力を高めます。中毒域が近いため、昔ほど使われなくなりましたが、頻脈性の心房細動で心収縮力も低下している場合などにはよい適応となることもあります。
その他の治療法として、心臓リハビリテーション、静注強心薬、弁膜症に対しての外科的治療、ペースメーカー、心拍再同期療法(Cardiac resynchronization therapy: CRT)、植込型除細動器(Implantable cardioverter defibrillator: ICD)、補助人工心臓、植込型人工心臓、心移植、などがありますが、専門的になりますので割愛します。
【虚血性心疾患の予防】
虚血性心疾患の予防とは、具体的には冠動脈疾患の予防です。
・高血圧症→https://循環器内科.com/ht
・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl
・糖尿病→https://循環器内科.com/dm
・喫煙→https://循環器内科.com/smoking
・大量飲酒→https://循環器内科.com/ld
冠動脈疾患は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒、加齢、冠動脈疾患の家族歴など、動脈硬化のリスク因子が多ければ多いほど起こしやすいです。逆に、動脈硬化のリスク因子が少なければ少ないほど急性心筋梗塞にはなりにくいです。これが、高血圧症、脂質異常症、糖尿病が自覚症状がなくても治療が必要な理由です。修正可能なリスク因子をコントロールして、急性心筋梗塞にならないようにしましょう。


可逆性脳血管攣縮症候群

【可逆性脳血管攣縮症候群とは】
可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible cerebral vasoconstriction syndrome: RCVS) とは、一過性に脳の血管が痙攣、収縮を起こす症候群です。症状は多彩で、突然の激しい頭痛、脳の血流が一過性に障害を受けることによって脳梗塞や一過性脳虚血発作に似た症状があります。虚血を起こした血管の領域によって、一過性の視力障害、四肢の脱力、しびれ感、呂律障害など様々な症状を引き起こします。以前は、Call syndrome、Call-Fleming syndrome、分娩後血管症(postpartum angiopathy)、良性中枢神経系血管症(benign angiopathy of the central nervous system)、片頭痛性血管攣縮、偏頭痛性動脈炎(migraine angiitis)、薬剤性脳血管炎(drug-induced cerebral angiitis)、薬剤性脳血管症等、様々な呼ばれ方をしていましたが、2007年、これらを総称する疾病概念としてRCVSが提唱されました。詳しくは下記をご覧ください。
「Narrative Review: Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndromes」→https://annals.org/aim/article-abstract/477594/narrative-review-reversible-cerebral-vasoconstriction-syndromes

【可逆性脳血管攣縮症候群の診断】
可逆性脳血管攣縮症候群の確定診断は、画像検査にて間接的または直接的に痙攣を起こしている脳血管を認めることです。2012年、「Ducrosの診断基準」があります。
・急性で重度の頭痛(しばしば雷鳴性の頭痛)で、巣症状や痙攣を伴うこともあれば伴わないこともある。
・単相性の経過で、発症から一ヶ月以上の新しい症候を伴わない。
・脳血管の部分的な血管収縮がMRIやCT等の間接的、または血管造影にて直接的に証明されていること。
・くも膜下出血ではないこと。
・脳脊髄液所見は正常またはほぼ正常(蛋白100mg/dL未満、白血球15cells/μL未満)であること。
・発症から12週間以内の経過観察において、脳血管は完全に正常またはほぼ正常であることが間接的または直接的に証明されること。
詳しくは下記をご覧ください。
「Reversible cerebral vasoconstriction syndrome」→https://www.thelancet.com/article/S1474-4422(12)70135-7/abstract
実臨床としては、まずは、くも膜下出血、脳出血、脳動脈解離等の脳血管障害を除外することが大切です。頭部CT、頭部MRIにて脳梗塞や脳出血がないこと、採血検査、必要に応じて脳脊髄液検査にて出血や感染症等の所見がないことを確認します。確定診断としてはカテーテル検査の適応を判断します。片頭痛や群発頭痛との鑑別も重要で、頭痛外来を一度紹介する場合もあります。また、脳血管カテーテルがすぐに出来ない場合や禁忌がある場合には、下記の血管拡張薬にて診断的治療を試みる場合もあります。

【可逆性脳血管攣縮症候群の治療】
可逆性脳血管攣縮症候群の治療としてエビデンスが確立しているものはありませんが、原則的には脳血管の痙攣を防ぐことを目的に血管拡張薬を使います。
・カルシウム拮抗薬
アムロジン(アムロジピン)、アダラート(ニフェジピン)、コニール(ベニジピン)、カルブロック(アゼルニジピン)、ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ワソラン(ベラパミル)、非ジヒドロピリミジン系カルシウム拮抗薬です。血管拡張作用で冠攣縮の発作を防ぎます。
・ ニトロペン(ニトログリセリン)、ニトロール(硝酸イソソルビド)、フランドル(硝酸イソソルビド)、ニトロダーム(ニトログリセリン)、ミオコールスプレー(ニトログリセリン)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、硝酸薬です。血管拡張作用で冠攣縮の発作を防ぎます。
・禁煙、冠攣縮の悪化因子として喫煙が知られています。喫煙者には禁煙を最優先します。
・スタチン、ARB、抗血小板薬、可逆性脳血管攣縮症候群の背景因子として、動脈硬化のリスク因子があると考えられる場合には、それぞれリスク因子を治療します。
・エビデンスは不明ですが、マグネシウム製剤、ステロイド、テグレトール(カルバマゼピン)、リリカ(プレガバリン)等が使われる場合もあります。

【可逆性脳血管攣縮症候群の予防】
労作、寒冷刺激、入浴、シャワー、興奮、性交、出産などが引き金となることがあります。また、薬物としては血管収縮作用のあるものは一般的に悪化に関係があることがあります。

【冠攣縮性狭心症との関係】
可逆性脳血管攣縮症候群に、冠攣縮性狭心症を合併する場合があります。これは脳血管だけではなく、心血管も攣縮を起こす性質を持っているものとして、可逆性全身性血管攣縮症候群(Reversible Systemic Vasoconstriction Syndrome: RSVS)という概念もありますが、そこまで一般的ではありません。両者の治療は共通するところも多いです。


感染性心内膜炎の予防

【感染性心内膜炎の予防】
感染性心内膜炎(Infective endocarditis: IE)とは、心臓の内側の膜、心内膜というところに細菌が感染することで発症する感染症です。発症してしまうと治療は難航することがあり、ハイリスク例では予防が重要です。感染性心内膜炎の危険因子としては細菌が付着しやすいような弁の異常がリスクとなることがわかっています。心臓弁膜症の患者さんは予防的抗菌薬投与が必要になることがあります。詳しくは感染性心内膜炎のページまたは日本循環器学会「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」をご覧ください。
感染性心内膜炎→https://循環器内科.com/ie
「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」
https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_nakatani_h.pdf
【感染性心内膜炎の危険因子と予防的抗菌薬投与】

感染性心内膜炎の危険因子としては、菌が付着しやすい弁の異常、機械弁等の人工異物が知られています。実は、感染性心内膜炎予防のための予防的抗菌薬投与の有効性は科学的には証明されていないため、欧米では一律の予防的抗菌薬投与に消極的ですが、日本のガイドラインではリスクに応じて予防的抗菌薬投与が推奨されています。具体的には以下のように整理されています。
「成人におけるIEの基礎心疾患別リスクと,歯科口腔外科手技に際する予防的抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル」
推奨の強さ
「1」:強く推奨する
「2」:弱く推奨する(提案する)
エビデンス総体の強さ
A(強):効果の推定値に強く確信がある
B(中):効果の推定値に中程度の確信がある
C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である
D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない
1.高度リスク群(感染しやすく、重症化しやすい患者):推奨の強さI:強く推奨する
・生体弁、機械弁による人工弁置換術患者、弁輪リング装着例
・IEの既往を有する患者
・複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室、完全大血管転位、ファロー四徴症)
・体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
2.中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが、心内膜炎発症の可能性が高い患者):推奨の強さII:弱く推奨する(提案する)
・ほとんどの先天性心疾患(※単独の心房中隔欠損症(二次孔型)を除く)
・後天性弁膜症(※逆流を伴わない僧帽弁狭窄症ではIEのリスクは低い)
・閉塞性肥大型心筋症
・弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
・人工ペースメーカ、植込み型除細動器などのデバイス植込み患者
・長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者
全ての心疾患が一律に予防的抗菌薬投与が必要という訳ではなく、あえて予防をする必要がない(低リスク群)としたものとして、ガイドラインでは以下のように記載されています。
・心房中隔欠損症(二次孔型)
・心室中隔欠損症、動脈管開存症、心房中隔欠損症根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの
・冠動脈バイパス術後
・逆流のない僧帽弁逸脱
・生理的または機能的心雑音
・弁機能不全を伴わない川崎病の既往
・弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
詳しくは日本循環器学会「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」をご覧ください。
「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」
https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_nakatani_h.pdf

【歯科処置前の抗菌薬の標準的予防投与法(成人)】

歯科処置前の抗菌薬の標準的予防投与法(成人)としては、経口投与可能かどうか、ペニシリンアレルギーの有無について、以上のように推奨されています。基本的には、処置前一時間の単回投与です。抜歯時などで歯科医師から予防的抗菌薬投与の必要性と具体的処方について診療情報提供書を求められることがあります。お気軽にご相談ください。


慢性閉塞性肺疾患

注意:このページでは、息切れ症状の鑑別疾患または喫煙の合併症としての慢性閉塞性肺疾患について記載しています。慢性閉塞性肺疾患の診断がすでに着いている方を呼吸器内科をご受診ください。ご来院いただいても呼吸器内科へのご案内となってしまうことを予めご了承ください。
【慢性閉塞性肺疾患とは】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease: COPD)とは、主に喫煙が原因で肺や気管支が慢性的に炎症を起こして弱っていく病気です。臨床症状としての慢性気管支炎(Chronic bronchitis)、画像所見としての肺気腫(Pulmonary emphysema)などとも呼ばれますが、ほとんど同じ意味です。慢性的に進行していき、治す治療法がありません。日本では死亡原因の9位、男性では7位を占めています。40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者が存在すると推定されていますが、大多数が未診断、未治療の状態であると考えられます。原因は喫煙です。したがって、治療も予防も煙草を吸わないことです。厳密には、タバコの煙以外の有害な吸入物質も慢性閉塞性肺疾患を引き起こす原因にはなりますが、日本では慢性閉塞性肺疾患の原因の90%以上は喫煙であることが明らかになっています。以下、喫煙が原因の慢性閉塞性肺疾患について説明します。詳しくは日本呼吸器学会のページをご覧ください。
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12
【慢性閉塞性肺疾患の診断】
診断は喫煙歴とともに、胸部CT、胸部レントゲン、呼吸機能検査等の検査があります。呼吸機能検査によって一秒率(forced expiratory volume 1.0 second %: FEV1.0%)70%以下の低下を認める場合、慢性閉塞性肺疾患の診断になります。胸部CTでは肺胞が破壊されて、気腫(Emphysema)という空洞が認められます。空洞の部分は呼吸器官としての機能を果たらしておらず、気腫が多ければ多いほど進行している慢性閉塞性肺疾患です。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000280.html
息苦しさ症状で受診した場合には、必要に応じて、心不全、狭心症等との除外が重要で、心電図、採血検査、心エコー検査、冠動脈CT検査を追加します。
【慢性閉塞性肺疾患の治療】
慢性閉塞性肺疾患は進行した後に元に戻す治療法がありません。予防としては第一に禁煙が必須です。慢性閉塞性肺疾患の原因は喫煙であることが既にわかっているからです。さらに、薬物療法、理学療法、酸素療法、陽圧換気療法、人工呼吸器、その他合併症に対する対処等があります。
・サルタノール(サルブタモール)、メプチン(プロテカロール)、スピリーバ(チオトロピウム)、アドエア(サルメテロール・フルチカゾン)、シムビコート(ブデソニド・ホルモテロール)、アノーロ(ウメクリジニウム・ビランテロール)、ウルティブロ(グリコピロニウム・インダカテロール)、テオドール(テオフィリン)、セレベント(サルメテロール)、ホクナリン(ツロブテロール)、ムコダイン(カルボシステイン)、ムコソルバン(アンブロキソール)、ビソルボン(ブロムヘキシン)、クリアナール(フドステイン)、他(順不同)
薬物療法としては、気管支拡張薬、吸入ステロイド薬、去痰薬当がありますが、慢性閉塞性肺疾患の進行を防いだり、肺を治す訳ではありません。禁煙が第一です。詳しくは慢性閉塞性肺疾患のグローバルな治療指針である「GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)」のページをご覧ください。
https://www.gold-jac.jp
【慢性閉塞性肺疾患の予防】
慢性閉塞性肺疾患の予防は煙草を吸わないことです。煙草を吸わなければ慢性閉塞性肺疾患になることはありません。これほどシンプルに予防法が確立している疾患も珍しいものです。


脳動脈解離

【脳動脈解離とは】
脳動脈解離(Cerebral artery dissection)とは、脳の血管の壁が裂けた状態です。症状は頚部血管の解離にともなう頚部痛、さらには血管が狭窄や閉塞すれば脳梗塞に似た症状、解離した血管から出血を起こせば脳出血やくも膜下出血に似た症状と、多彩な症状を引き起こします。出血も梗塞も起こしていなければ頚部痛のみということもあります。原因はもともと高血圧症、喫煙などで血管が弱まっているところに、頸部外傷、頚部回旋などの外力刺激をきっかけにして血管が破れることで発症します。頚椎マッサージやカイロプラティック等の医原性の場合の他、明らかな誘引が特定出来ない特発性のものもあります。
【脳動脈解離の診断】
画像検査にて脳の血管の解離を証明することです。脳動脈解離を起こしやすい脳動脈には、両側の内頚動脈、両側の椎骨動脈、脳底動脈がありますが、それ以外の血管も解離を起こす可能性がありあす。頭部MRA、頸部MRA、頭部CT、頸部CT、脳血管造影などで血管に解離を認めれば診断になります。胸部大動脈の解離から解離が進展して、脳動脈解離を二次的に発症してしまう場合もあります。大動脈解離を疑った場合には、胸部造影CT、心エコー等を追加します。詳しくは脳血管の解剖のページをご覧ください。
https://funatoya.com/funatoka/anatomy/angio/av-10.html
【脳動脈解離の治療】
急性期には血圧管理をしつつ、脳梗塞と脳出血の予防を行います。脳梗塞の予防のためには抗血小板療法、抗凝固療法が必要になる場合もありますが、出血リスクがあるため脳出血の予防のためには行わないこともあります。解離の部位、程度、偽腔の開存か閉塞か、内弾性板と中膜間の解離か中膜と外膜間の解離か、神経症状の有無と程度によってケースバイケースで判断します。中膜と外膜間の解離では外側に血管が瘤状に拡大し、解離性脳動脈瘤を形成する場合があり、くも膜下出血予防のために未破裂脳動脈瘤と同様に治療します。開頭クリッピング術とコイル塞栓術があります。手術の適応を満たさない場合には定期的に画像検査にてフォローしていきます。慢性期には血圧管理と定期的な画像検査のフォローが重要です。お茶の水循環器内科では脳動脈解離の診断が着いた時点で一度脳神経外科に紹介しています。詳しくは日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」をご覧ください。
https://www.jsts.gr.jp/jss08.html
【脳動脈解離の予防】
脳動脈解離のリスク因子は高血圧症と喫煙です。高血圧症があれば脳動脈解離を引き起こす前に治療、脳動脈解離を発症後も再発予防のため降圧します。喫煙は明らかなリスク因子ですので禁煙が必須です。解離した血管が修復されるまでの期間はおおよそ2ヶ月程度と言われており、それ以降の慢性期は高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の動脈硬化性因子のリスク管理が中心になります。また、頸部への外力は脳動脈解離の誘発因子として注意が必要で、頸部を強く操作するようなマッサージ、カイロプラティック等は注意が必要であると言われています。


心雑音

【心雑音とは】
心雑音(Heart murmur)とは、心臓の動きに関連して発生する心音の中で、I音とII音以外の心音の総称です。心雑音をきっかけに心臓弁膜症等の器質的心疾患が見つかることもありますし、特に無害である生理的心雑音ということもあります。検診で心雑音を指摘されると驚いてしまう方も多いのですが、全ての心雑音がただちに心臓病という訳ではありません。無害なものも多いので、まずは心エコー検査から進めてまいりましょう。
【心雑音の精密検査】
心雑音を指摘された場合は、まずは心エコー検査にて心臓弁膜症等の原因がないかを調べます。必要に応じて採血検査にて貧血、甲状腺機能異常、心不全等を調べます。さらに動悸症状や失神症状等の自覚症状を伴う場合にはホルター心電図を追加することがあります。心エコーについて詳しくは下記ページをご覧ください。
心エコー→https://循環器内科.com/ucg
【心エコー検査の流れ】
お茶の水循環器内科では主に「心臓画像クリニック飯田橋」さんに心臓画像検査を依頼しています。
心臓画像クリニック飯田橋→https://www.cviclinic.com
(1)当院から検査の予約を取ります。営業時間外の場合はご自身でご予約の取り方をご説明します。その際に検査の注意事項、前日、当日の確認事項を説明します。
(2)予約当日、飯田橋にある心臓画像クリニックに向かいます。予約時間の30分前までには到着するようにしましょう。受付後の流れをざっくり言うと、問診、検査の説明、注意事項の確認、着替え、待合室で検査を待ちます。検査の順番になったら検査室に呼ばれます。心エコー自体は長くて45分間程度です。検査後はその日のうちに医師から検査結果の説明があります。もし緊急で対応が必要な状態であると判断された場合は、速やかに適切な医療機関へご紹介という体制です。詳しくは心臓画像クリニックさんのページをご覧ください。
https://www.cviclinic.com/flow.html
(3)当院に検査結果の報告書が届きますので、後日説明を聞きにいらっしゃってください。異常なしであれば異常なしという説明、治療が必要であれば適宜適切な治療、追加の検査が必要であれば適宜その手配と、それぞれ診察を進めていきます。
【心エコー検査の費用】
保険適応の場合、3割負担で、3000円程度です。時間は検査自体は長くて45分くらい、全体で90分前後あれば大丈夫でしょう。心エコー、ホルター心電図、心臓MRIなど他の検査を追加する場合はそれぞれ追加の検査代、時間が掛かります。また、特に何も症状はないけれどなんとなく心臓が心配という場合、保険適応外で心臓ドックとなり、ドックの費用が掛かります。
【心音の種類】
・I音:僧帽弁と三尖弁が閉じる時に発生する心音です。正常心音です。
・II音:大動脈弁と肺動脈弁が閉じる時に発生する心音です。正常心音です。
・III音:拡張期に心房から心室へ血液が流入する時に心室の振動に関連して発生する心音です。多くは正常心音ですが、拡張期の心筋に障害がある場合もあります。
・IV音:拡張期に心房が収縮する時に発生する心音です。多くは正常心音ですが、心房に負荷が掛かっている場合もあります。
・収縮期雑音:心臓の収縮期に発生する心音で、駆出音、収縮中期クリック音、収縮後期クリック音、僧帽弁開放音、収縮期駆出性雑音、収縮期逆流性雑音、などがあります。大動脈弁狭窄症、僧帽弁逆流症などが見つかる場合があります。
・拡張期雑音:拡張期ランブル音、拡張期逆流性雑音、前収縮期雑音などがあります。大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症などが見つかる場合があります。
・混合性雑音:連続性雑音、往復性雑音などがあります。
・心膜性雑音:心膜ノック音、心膜摩擦音などがあります。
【心雑音の原因】
心雑音の原因は多岐に渡ります。心雑音の原因となる心臓弁膜症としては、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈狭窄症、大動脈閉鎖不全症などがあります。心房中隔欠損症、心室中隔欠損等の先天性心疾患が見つかることもあります。心雑音の原因として肥大型心筋症、拡張型心筋症などの心筋症が見つかる場合があります。急性心筋梗塞や心不全で心臓の動きが障害された場合にも心雑音が発生します。他に心雑音をきっかけに貧血や甲状腺機能異常などが見つかる場合もあります。
・僧帽弁狭窄症→https://循環器内科.com/ms
・僧帽弁閉鎖不全症→https://循環器内科.com/mr
・大動脈弁狭窄症→https://循環器内科.com/as
・大動脈弁閉鎖不全症→https://循環器内科.com/ar
・心房中隔欠損→https://循環器内科.com/asd
・心室中隔欠損→https://循環器内科.com/vsd
・肥大型心筋症→https://循環器内科.com/hcm
・拡張型心筋症→https://循環器内科.com/dcm
・急性心筋梗塞→https://循環器内科.com/ami
・心不全→https://循環器内科.com/hf
・鉄欠乏性貧血→https://循環器内科.com/anemia
・甲状腺機能亢進症→https://循環器内科.com/hypert
・甲状腺機能低下症→https://循環器内科.com/hypot


副甲状腺機能亢進症

【副甲状腺機能亢進症とは】
副甲状腺機能亢進症(Hyperparathyroidism)とは、副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone: PTH)が過剰に分泌されている状態です。副甲状腺ホルモンは主にカルシウムの濃度を調整しており、副甲状腺ホルモンが過剰だと高カルシウム血症を来します。二次性高血圧症の原因の一つとして副甲状腺機能亢進症が見つかることもあります。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。副甲状腺そのものが原因のもの、原発性副甲状腺機能亢進症と、慢性腎臓病等の副甲状腺以外が原因のもの、続発性副甲状腺機能亢進症と2種類があります。詳しくは伊藤病院のホームページをご覧ください。
https://www.ito-hospital.jp/02_thyroid_disease/03_2about_php.html

【副甲状腺機能亢進症の診断】
副甲状腺機能亢進症の症状としては、高カルシウム血症による症状として、易怒性、頭痛、全身倦怠感、食欲低下、便秘などがあります。副甲状腺ホルモンは骨からカルシウムを血中へと移動させるため、副甲状腺機能亢進症では、骨密度低下、骨粗鬆症、骨折にも関係します。高カルシウム血症が続くと、尿中のカルシウム濃度も高くなり、尿路結石の原因となったり、血管内にカルシウムが沈着し、石灰化の所見となったりします。症状がはっきりしない場合には採血検査にて見つかる場合もあります。採血では、カルシウム濃度、副甲状腺ホルモン(intact-PTH)、リン、腎機能などを測定します。高カルシウム血症かつ高PTH血症であれば副甲状腺機能亢進症と診断になります。次に、さらに専門的な検査として、副甲状腺エコー、副甲状腺シンチグラフィ、頚部CT検査、悪性腫瘍を疑い場合には副甲状腺生検などの検査を行います。お茶の水循環器内科の方針としてはスクリーニング検査にて採血にて副甲状腺機能亢進症を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。

【副甲状腺機能亢進症の治療】
お茶の水循環器内科の方針としてはスクリーニング検査にて採血にて副甲状腺機能亢進症を疑った場合には内分泌内科へ紹介し、精査及び治療を行う方針としています。治療の原則は副甲状腺機能亢進症の原因に対する治療と、副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症に対する治療です。副甲状腺腫瘍が見つかった場合には副甲状腺腫瘍に対して外科的切除、高カルシウム血症に対しては程度によりますが、軽度であれば経過観察、重度であれば輸液、カルシトニン投与等でカルシウム濃度の正常化のための治療を行うこともあります。詳しくは慶應義塾大学病院腎臓・内分泌・代謝内科のページをご覧ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000130.html


先端巨大症

【先端巨大症とは】
先端巨大症(Acromegaly)とは、成長ホルモン過剰分泌が原因で二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群などがあります。下垂体性成長ホルモン分泌亢進症とも呼ばれ、下垂体腫瘍による成長ホルモン(Growth hormone: GH)の過剰分泌が原因です。骨端線閉鎖前に発症したものは下垂体性巨人症(Pituitary gigantism)と言い、小児の病気です。

【先端巨大症の診断】
症候としては、手足の容積の増大、先端巨大症様顔貌(眉弓部の膨隆、鼻・口唇の肥大、下顎の突出など)、巨大舌などが特徴です。参考所見としえは、発汗過多、頭痛、視野障害、女性における月経異常、睡眠時無呼吸症候群、耐糖能異常、高血圧、咬合不全、頭蓋骨および手足の単純X線の異常など多岐に渡ります。スクリーニング検査としては成長ホルモン(GH)を測定します。さらに確定診断のための検査としては、ブドウ糖負荷試験、血中IGF-1(ソマトメジンC)、頭部MRIまたはCTにて下垂体腺腫の有無の評価などがあります。お茶の水循環器内科の方針としてはスクリーニング検査にて採血または頭部画像検査にて先端巨大症を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本間脳下垂体腫瘍学会「先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/sentan_kyodai.pdf

【先端巨大症の治療】
お茶の水循環器内科の方針としては、二次性高血圧症のスクリーニング検査として採血にて先端巨大症を疑った場合には内分泌内科に紹介し、精査及び治療を行うようにしています。治療の原則としては、ホルモンの状態を正常な状態に戻ることです。手術療法、薬物療法、放射線療法の3つがあります。具体的には、
・経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術
・ソマトスタチン誘導体、GH受容体拮抗剤の投与
・定位的放射線治療
合併症に対する治療として、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、心疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸症候群、悪性腫瘍(特に大腸癌)などがあります。詳しくは日本間脳下垂体腫瘍学会「先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/sentan_kyodai.pdf


クッシング症候群

【クッシング症候群とは】
クッシング症候群(Cushing syndrome)とは、コルチゾール過剰分泌による二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。クッシング症候群のうち、副腎皮質刺激ホルモン(Adrenocorticotropic hormone: ACTH)依存性クッシング症候群として、下垂体のACTH分泌腫瘍が原因のものをクッシング病、下垂体以外にACTHを生成する腫瘍が原因の場合を異所性ACTH産生腫瘍、ACHT非依存性クッシング症候群として、コルチゾールを生成する副腎腺腫による狭義のクッシング症候群、ACTH非依存性大結節性副腎過形成等の分類があります。

【クッシング症候群の診断】
クッシング症候群に特徴的な症候として、コルチゾール過剰による中心性肥満、満月様顔貌、野牛様脂肪沈着、赤色皮膚線条、皮膚の菲薄化、アンドロゲン過剰による多毛、ざ瘡などの男性化、などがあります。非特異的症候としては高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、尿路結石、爪白癬、好酸球減少、低カリウム血症などがあります。スクリーニング検査としては採血にて、血中ACTH、血中コルチゾール、尿中遊離コルチゾール測定します。さらに確定診断のための検査としては、デキサメサゾン抑制試験、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone: CRH)試験、頭部MRI検査により下垂体腫瘍の有無の評価、副腎CTにより副腎腫瘍の有無の評価、異所性ACTH産生症候群との鑑別のため必要があれば選択的静脈洞血サンプリングなどの専門的検査があります。お茶の水循環器内科の方針としてはスクリーニング検査にて採血または頭部MRI検査にてクッシング症候群を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本間脳下垂体腫瘍学会「クッシング病の診断の手引き」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/cushing.pdf

【クッシング症候群の治療】
お茶の水循環器内科の方針としては、二次性高血圧症のスクリーニング検査として採血にてクッシング症候群を疑った場合には内分泌内科に紹介し、精査及び治療を行うようにしています。治療の原則は、クッシング症候群を引き起こしている原因を特定し、ホルモンの状態を正常な状態に戻すことです。具体的には、
・クッシング病の場合は経蝶形骨洞下垂体手術による下垂体腫瘍摘出術
・異所性ACTH産生腫瘍の場合は原因病巣の外科的摘出
・副腎腺腫の場合は腹腔鏡下副腎摘出術
がそれぞれ第一選択になります。詳しくは日本内分泌学会「間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance.html


褐色細胞腫

【褐色細胞腫とは】
褐色細胞腫(Pheochromocytoma: PCC)とは、神経内分泌腫瘍の一つで、カテコラミン過剰生成による二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群などがあります。副腎髄質原発のものを褐色細胞腫、副腎外の傍神経節由来のものをパラガングリオーマ(Paraganglioma: PGL)と呼び、両者を包括して褐色細胞腫・パラガングリオーマ(Pheochromocytoma/Paraganglioma: PPGL)と呼びます。褐色細胞腫・パラガングリオーマのうち10-15%は転移性、浸潤性があり、WHOは2017年に全ての褐色細胞腫・パラガングリオーマは転移の可能性があるとして、悪性腫瘍と定義しました。 詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000143.html

【褐色細胞腫の診断】
臨床症状としては、発作性の血圧上昇、動悸、頻脈、発汗、頭痛、胸痛、不安感など、カテコラミン過剰分泌による多彩な症状を来します。血圧の急激な上昇、高血圧クリーゼの原因になります。血圧正常例、低血圧やショックを起こすこともあるとの報告もあり、注意が必要です。スクリーニング検査としては、血中カテコラミン分画、尿中メタネフリン分画を測定します。アドレナリン、ノルアドレナリン正常上限値の3倍以上の上昇または合計2000pg/dl以上の高値で陽性です。局在診断としては、CT、MRI、MIBGシンチグラフィ、FDG-PET、他、いくつかの画像診断法があります。お茶の水循環器内科の方針としては、採血または尿検査にて褐色細胞腫を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0365/G0001079

【褐色細胞腫の治療】
お茶の水循環器内科の方針としては、二次性高血圧症のスクリーニング検査として採血または尿検査にて褐色細胞腫を疑った場合には内分泌内科に紹介し、精査及び治療を行うようにしています。
・血圧コントロールとしては、α1遮断薬を第一選択とし、カルデナリン(ドキサゾシン)で1mgから16mgを2、3週間掛けて調整します。α1遮断薬のみで降圧不十分な場合にはCa拮抗薬を併用します。頻脈、心不全に対してはβ遮断薬を併用しますが、先にα1遮断薬を投与します。
・高血圧クリーゼに対しては、レギチーン(フェントラミン)持続静注にて管理します。
・腫瘍が特定された場合には、手術療法による腫瘍切除術が第一選択です。
妊婦における診断・治療、病理組織診断、遺伝子解析、予後および経過観察、悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマに対しては、悪性度の評価法、化学療法、I-MIBG治療、骨転移の治療、疼痛の治療、便秘の治療、カテコラミン合成阻害薬、その他の治療、今後のPerspectivesなどの記載があります。詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0365/G0001079


原発性アルドステロン症

【原発性アルドステロン症とは】
原発性アルドステロン症(Primary aldosteronism: PA)とは、アルドステロン過剰分泌による二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。原発性アルドステロン症は二次性高血圧症の原因のうちで最も多く、高血圧症全体の3-10%と高頻度であること、適切な診断と治療によって治癒可能であることからスクリーニング、発見が重要です。
詳しくは日本内分泌学会「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」をご覧ください。
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0255/G0000916
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000143.html

【原発性アルドステロン症の診断】
原発性アルドステロン症に特徴的な自覚症状はなく、二次性高血圧症として高血圧症を来します。本態性高血圧症と比べて、脳卒中、心肥大、心房細動、冠動脈疾患、心不全などの合併症が多いとの報告があり、適切な診断と治療によって治癒可能であること、原発性アルドステロン症は二次性高血圧症の原因疾患として一番多いことから、高血圧症の中で原発性アルドステロン症を適切に診断することが重要です。スクリーニング検査として採血にてレニン活性、アルドステロンを測定します。アルドステロンレニン比(Aldosterone to Renin Ratio: ARR) 200以上または血漿アルドステロン濃度(Plasma aldosterone concentration: PAC) 120以上の場合、原発性アルドステロン症を疑います。PAC 120未満でも原発性アルドステロン症は完全には否定出来ないとされています。高血圧症患者全例でスクリーニングが望ましいが、費用対効果は未確立であることから、原発性アルドステロン症高頻度の高血圧群における積極的なスクリーニング検査が推奨されています。高頻度の高血圧群としては、低カリウム血症合併例(利尿薬誘発例も含む)、若年性の高血圧、II度以上の高血圧、治療抵抗性高血圧、副腎偶発腫合併例、40歳以下での脳血管障害発症例が挙げられています。お茶の水循環器内科の方針としては、スクリーニング検査にて原発性アルドステロン症を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。低カリウム血症は原発性アルドステロン症を疑う所見の一つですが、カリウム値正常の原発性アルドステロン症が60-90%もあると報告されていることからカリウムの値のみでは判断出来ないとされています。 採血は、体位や採血時間の影響を受けてしまうが、スクリーニング検査としては随時採血で良いとされています。厳格には標準化条件における採血が望ましいとされており、具体的には早朝、空腹時、安静臥床後の採血が推奨されています。降圧薬のうち、β遮断薬、利尿薬、MR拮抗薬は影響を及ぼしてしまうことから、Ca拮抗薬、α遮断薬へ切り替え、2週間の休薬が推奨されていますが、血圧管理を最優先すべきであるとも記載されています。機能確認検査として、カプトプリル試験、フロセミド立位試験、生理食塩水負荷試験、経口食塩負荷試験等があり、日本内分泌学会のガイドラインでは2種類以上の検査で陽性の場合を原発性アルドステロン症の確定診断としています。局在診断として、エコー、CT、MRI、副腎シンチグラフィ、他、いくつかの画像診断法がありますが、thin sliceの造影CTが推奨されています。さらに副腎静脈サンプリング(Adrenal Venous Sampling: AVS)という検査があり、手術を考慮する場合には推奨となっており、専門的施設で行います。 アルドステロン生成副腎癌(Aldosterone Producing Adrenocortical Carcinoma: APAC)の頻度は極めて少ないが、治療法が大きく異なるため除外診断が重要とされています。お茶の水循環器内科の方針としては、スクリーニング検査にて原発性アルドステロン症を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本内分泌学会「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」をご覧ください。
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0255/G0000916

【原発性アルドステロン症の治療】
原発性アルドステロン症の治療としては、副腎摘出術と薬物療法の2つがあります。
・原発性アルドステロン症と確定診断がされ、片側性病変の場合には、原則、病側の副腎摘出術が推奨されています。
・両側性病変の場合、患者が手術を希望しない場合、手術不能のなどの場合には、MR拮抗薬を第一選択とする薬物療法を行います。薬物療法は原則として生涯に渡る継続が必要とされています。
いずれかの治療法の優越性を示す明確なエビデンスはなく、個々の症例ごとに判断しますが、片側性の原発性アルドステロン症であれば副腎摘出によりアルドステロン正常化、血圧正常化が期待出来ることから、原則として手術が推奨されています。腫瘍のサイズと合併症の頻度等は明確な相関がないとのことから腫瘍サイズのみで治療法選択の主たる判断基準とすべきではないことが記載されています。MR拮抗薬としては、アルダクトン(スピロノラクトン)とセララ(エプレレノン)があり、いずれかが予後に差があるというエビデンスはありません。
今後のPerspectivesとしては、病因遺伝子の解明、アルドステロン測定法、非侵襲的画像検査、分画別副腎静脈採血、片側副腎部分切除、病理学的診断などの記載があります。詳しくは日本内分泌学会「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」をご覧ください。
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0255/G0000916


冠危険因子

【冠危険因子とは】
冠危険因子(Coronary Risk Factor)とは、 狭心症や急性心筋梗塞という冠動脈疾患(Coronary artery disease)を引き起こすリスク因子のことです。冠危険因子が多ければ多いほど冠動脈疾患を起こしやすく、冠危険因子が少なければ少ないほど冠動脈疾患を起こしにくいことが知られています。具体的には、加齢、性別、家族歴のように自分の意志では修正不可能なものと、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒、運動不足のように修正可能なものとがあります。冠危険因子に応じて、冠動脈CT、心臓MRI等で冠動脈を評価を進めて行きます。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html

【冠動脈疾患とは】
冠動脈疾患とは心臓の血管、冠動脈(Coronary artery)に異常を来した疾患です。狭心症や急性心筋梗塞とに分けられます。どちらも命に関わりますので早期発見、予防が重要です。詳しくは下記ページをご覧ください。
・急性冠症候群→https://循環器内科.com/acs
・急性心筋梗塞→https://循環器内科.com/ami
・不安定狭心症→https://循環器内科.com/uap
・労作性狭心症→https://循環器内科.com/eap
・冠攣縮性狭心症→https://循環器内科.com/vsa
・陳旧性心筋梗塞→https://循環器内科.com/omi

【冠動脈疾患の検査】
心疾患の検査には様々なものがありますが、冠動脈疾患の精査としては冠動脈を直接見る検査が最も正確です。冠動脈CT、心臓MRI、冠動脈造影といくつか方法があります。詳しくは下記をご覧ください。それぞれ特徴がありますので主治医にご相談ください。
・心電図→https://循環器内科.com/ecg
・心筋トロポニン→https://循環器内科.com/bloodtest
・BNP→https://循環器内科.com/bloodtest
・心エコー→https://循環器内科.com/ucg
・冠動脈CT→https://循環器内科.com/cta
・心臓MRI→https://循環器内科.com/cmri
・冠動脈造影→https://循環器内科.com/cag
・冠動脈カテーテル治療→https://循環器内科.com/pci

【冠危険因子の評価】
冠危険因子が多ければ多いほど冠動脈疾患を起こしやすく、冠危険因子が少なければ少ないほど冠動脈疾患を起こしにくいことが知られています。具体的には、日本動脈硬化学会「吹田スコアによる冠動脈疾患発症確率と脂質管理目標値」 によってリスク評価が可能です。
・日本動脈硬化学会「吹田スコアによる冠動脈疾患発症確率と脂質管理目標値」 →https://www.j-athero.org/publications/gl2017_app.html
日本内科学会「脳心血管病予防のための包括的リスク管理チャート」も有用です。
・日本内科学会「脳心血管病予防のための包括的リスク管理チャート」→https://www.naika.or.jp/info/crmcfpoccd

【冠危険因子の管理】
冠危険因子とは、冠動脈疾患(狭心症や急性心筋梗塞)を引き起こすリスク因子のことです。具体的には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒、運動不足、 加齢、性別、家族歴、その他の冠危険因子にまとめられます。加齢、性別、家族歴のように自分の意志では修正不可能なものと、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、大量飲酒、運動不足のように修正可能なものとがあります。特にこの中でも高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙は大きな危険因子であることがわかっています。
・高血圧症→https://循環器内科.com/ht
・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl
・家族性高コレステロール血症→https://循環器内科.com/fh
・糖尿病→https://循環器内科.com/dm
・禁煙外来→https://循環器内科.com/smoking
・肝機能障害→ https://循環器内科.com/ld
・腎機能障害→https://循環器内科.com/rd
・睡眠時無呼吸症候群→https://循環器内科.com/sas
冠動脈疾患は冠危険因子が多ければ多いほど起こしやすく、冠危険因子が少なければ少ないほど冠起こしにくいことが知られています。修正可能な冠危険因子を減らして、冠動脈疾患を予防しましょう。


川崎病

【川崎病とは】
川崎病(Kawasaki disease)とは、小児の全身性の血管炎症候群で、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも呼びます。1967年に小児科医の川崎富作先生が発見しました。原因は不明ですが、ウイルスや細菌の感染とそれに対する自己免疫が関与しているのではないかと考えられています。川崎病の問題点はその後に後遺症として冠動脈瘤を形成することがあることです。循環器内科.comでは主に川崎病の後遺症としての冠動脈瘤について説明します。川崎病の急性期の診断や治療については小児科を受診ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000624.html

【川崎病の後遺症としての冠動脈瘤】
川崎病に罹患すると、川崎病自体の症状は通常1-2週間で治りますが、後遺症として心臓の血管、冠動脈に冠動脈瘤を形成することがあります。川崎病に罹患した小児の10-20%程度と言われています。川崎病の発症後30日前後で冠動脈瘤の有無を評価、その後、冠動脈瘤は1年程度で退縮することもありますが、その後も冠動脈瘤として残る場合あり、おおよそ半数程度と言われています。乳幼児の冠動脈の大きさは2mm程度ですが、7mm以上、10mm以上になると、血流が鬱滞し、血栓が出来やすくなります。血栓が遊離し、その先の冠動脈に血栓が詰まると、心筋梗塞を引き起こします。川崎病について詳しくは日本川崎病学会のページをご覧ください。
https://www.jskd.jp

【冠動脈瘤の検査】
冠動脈瘤の有無や程度の評価は、エコー、冠動脈カテーテル検査によって行います。通常、川崎病の後遺症としての冠動脈瘤は、川崎病発症後1-2年で起こり、その後退縮していく場合もありますが、10年、15年と長期間掛けて冠動脈瘤から冠動脈狭窄を来す場合があります。1980年前後から川崎病の急性期に、バイアスピリンや免疫グロブリン療法等の普及によって冠動脈瘤は減って来ているとのことですが、免疫グロブリン療法を行っても冠動脈瘤を発生する例があること、免疫グロブリン療法が普及する以前に川崎病に罹患した場合、川崎病の初期は発熱やリンパ節腫脹等で単なる風邪と見分けることは難しいため、川崎病に掛かったかどうかわからない場合等、注意が必要です。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/child/pamph31.html

【お茶の水循環器内科の方針】
川崎病の既往がある方で成人後に冠動脈瘤が見つかる例は珍しくありません。川崎病の後遺症としての冠動脈瘤や冠動脈狭窄は10年、15年という長期間後に発生することもある後遺症であるので、急性期の時期には特に異常がないと言われていてもその後に冠動脈瘤を来すことがあるということ、または、もともと川崎病の後遺症による冠動脈病変があったところに、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙等の冠動脈疾患の危険因子が後天的に重なり、冠動脈疾患を発症してしまう可能性など注意が必要です。また川崎病の診断基準は臨床診断であり、診断基準を完璧に満たさない非典型例も多く、ほとんどの場合ただの風邪と見分けが着かないことも大いにある点も注意です。お茶の水循環器内科の方針としては、いずれにせよ、わからない場合は冠動脈を評価しておいたほうが安全と考えています。冠動脈CTや心臓MRI等でスクリーニング検査があります。冠動脈精査の必要性についてはまずは主治医に相談ください。


抗リン脂質抗体症候群

【抗リン脂質抗体症候群とは】
抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome: APS)とは、抗リン脂質抗体という自己抗体が陽性で、全身の血栓症を来す疾患です。また、女性では習慣性流産、不育症と関わっていることが知られています。抗リン脂質抗体として、ループスアンチコグラント(LAC)、抗カルジオリピン抗体(aCL)、抗グリコプロテイン抗体等が陽性となることが特徴です。全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫疾患に続発する続発性抗リン脂質抗体症候群と、原発性抗リン脂質抗体症候群とがあります。詳しくは下記ページをご覧ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000730.html

【抗リン脂質抗体症候群の診断基準】
国際分類基準案(2006年札幌クライテリアシドニー改変)という診断基準があります。具体的には、臨床基準1項目以上、かつ検査基準1項目以上が存在するとき、抗リン脂質抗体症候群とします。
臨床基準
1、血栓症:画像検査や組織学的検査で確認された動脈、静脈、小血管での血栓症
2、妊娠に伴う所見:
a、妊娠第10週以降の形態学的な正常な胎児の原因不明の死亡
b、重症の子癇前症・子癇または高度の胎盤機能不全による妊娠第34週以前の形態学的な正常な児の早産
c、母体の解剖学的・内分泌学的異常、染色体異常を除外した、妊娠第10週以前の3回以上連続した自然流産
検査基準(12週間以上5年未満の間隔で2回以上陽性となる)
1、ループス抗凝固因子陽性
2、ELISAで測定したIgG/IgM抗カルジオリピン抗体中等度以上陽性(40U/ml以上)
3、ELISAで測定したIgG/IgM抗β2-グリコプロテインI抗体陽性(>99パーセンタイル)
詳しくは難病情報センターのページをご覧ください。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4102

【抗リン脂質抗体症候群の治療】
抗リン脂質抗体症候群と診断が確定した場合、または疑われる場合には専門の診療科を紹介します。抗リン脂質抗体症候群のみ陽性で、特別の臨床症状を認めない場合は経過観察することが多いです。血栓症を繰り返している場合はアスピリンまたはワルファリン等による予防療法を行います。具体的には、
A、これまで血栓症がなく、抗リン脂質抗体陽性だけの場合(一次予防):妊娠合併症の既往がない限り、抗体陽性のみでは薬物による一次予防は不要
B、血栓症の既往を有するがAPSの診断には至らない抗リン脂質抗体陽性者:低用量アスピリンなどの抗血小板薬
C、血栓症の既往を有するAPS診断例(二次予防)
1、静脈血栓症の既往を有する例:INR 2~3のワルファリンによる抗凝固療法
2、動脈血栓症の既往を有する例
脳梗塞、虚血性心疾患(塞栓症を除く)の場合:低用量アスピリンまたはプラビックス(クロピドグレル)またはワルファリン(INR 3~4)
塞栓症、脳梗塞虚血性心疾患以外の血栓症の場合:INR 2~3のワルファリン
3、治療下での血栓症の再発:INR 3~4のワルファリン、または低用量アスピリンとワルファリン(INR 2~3)の併用、または未分画もしくは低分子ヘパリン皮下注
薬物療法以外としては、喫煙、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満などの血栓症のリスクがあればそれぞれ介入
詳しくは下記ページをご覧ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000730.html


卵円孔開存

【卵円孔開存とは】
卵円孔とは出生前、胎児期に右心房と左心房をつなぐ孔で、胎児期には肺呼吸をしていないため、血液は卵円孔を通り、右心房→左心房へと流れています。出生後は肺呼吸が始まるに伴い、卵円孔は通常2、3日程度で自然閉鎖し、卵円窩となり、以後は右心房と左心房の間が血液が混ざらないようになっています。この卵円孔が自然閉鎖せずに残っている状態を卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO)と言い、成人の20-25%に認めると言われています。

【卵円孔開存と脳塞栓症】
卵円孔開存は人口の20-25%と多いもので必ずしも全例治療が必要となる訳ではありません。しかしながら、静脈系に出来た血栓が卵円孔を通り、右心房、左心房、左心室から脳梗塞や一過性脳虚血発作の原因になることがあると言われています。これを心房細動による心原性脳塞栓症等の動脈系の脳塞栓症とは区別して、奇異性脳塞栓症(Paradoxical cerebral embolism)と呼びます。右左シャントを認める疾患では奇異性脳塞栓症を引き起こすリスクがありますが、卵円孔開存もその一つであると言われています。

【卵円孔開存の治療方針】
まず第一に、卵円孔開存は人口の20-25%と多いもので必ずしも全例治療が必要となる訳ではありません。卵円孔閉鎖術後も脳梗塞または一過性脳虚血発作の発生率に差がなかったという報告もあり、本当に卵円孔開存による奇異性脳塞栓症が原因の脳梗塞かどうかを総合的に判断する必要があります。一方で、明らかに卵円孔開存を原因とした奇異性脳塞栓症を繰り返していると考えられる場合には卵円孔閉鎖術の適応を考慮します。卵円孔閉鎖術には、外科的閉鎖術と経皮的カテーテル卵円孔閉鎖術があります。
卵円孔開存を伴う脳梗塞で深部静脈血栓症がある場合はワーファリン(ワルファリン)による抗凝固療法の適応となります。PT-INR 2.0-3.0を目安にコントロールします。
脳梗塞の既往のない卵円孔開存に対しては治療方針は定まっていません。一次予防として脳梗塞予防を行う場合は、上記の二次予防に準じた抗凝固療法を行いつつ、卵円孔閉鎖術の適当を考慮します。詳しくは日本循環器学会「成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)」をご覧ください。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_ichida_h.pdf


心室中隔欠損

【心室中隔欠損症とは】
心室中隔欠損症(Ventricular septal defect: VSD)とは、先天性心疾患の一つです。左心室と右心室の間には心室中隔という壁があり、血液が混ざらないようにしています。生まれつき心室中隔に孔が空いていることがあり、心室中隔欠損症と言います。先天性心疾患は人口の1%程度、心室中隔欠損症は先天性心疾患の中で最も多く、20-30%を占めます。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ppc/cardiovascular/tr04_vsd.html

【心室中隔欠損症の診断】
診断は心エコーにて心室中隔の欠損を確認することによって行います。 幼少期に検診等で引っかかり診断が付いている場合もあれば、無症状または症状がほとんどない場合もあり、成人後に見つかる場合もあります。生後間もない場合、自然閉鎖することが多い一方で、生後2、3年以降になると自然閉鎖率は年間10%程度と言われており、手術が必要です。成人後は、息切れ、動悸、易疲労感等の心不全症状、心房細動等の不整脈をきっかけに見つかることもあります。通常は、左心房のほうが右心房よりも圧が高いので、左→右へ血液が流れています。全身へ送り出すはずの血液がもう一回肺へ循環するので、その分肺や心臓に負担が掛かります。肺の血管が固くなり、肺高血圧症を来すと、右心房と左心房の圧が同じになるか逆に右心房のほうが左心房よりも圧が高くなり、右→左へと血液が流れるようになります。アイゼンメンゲル症候群(Eisenmenger’s syndrome)といい、静脈の血液がそのまま全身へ流れるようになってしまい、チアノーゼを来します。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000077.html

【心室中隔欠損の治療】
心室中隔閉鎖術によって、心室中隔を閉鎖します。手術適応としては、
・PH を認めず,Qp/Qs > 1.5 かつ左室拡大がみられる場 合は,一般に外科的修復術を考慮する.
・Eisenmenger 症候群に至っていない PH(Qp/Qs > 1.5) を認めた場合,肺動脈に可逆性を認める場合は手術を考慮する.
・PH 合併の成人先天性 心疾患症例の経験豊富な専門施設へのコンサルトが基本で ある.
・その他,円錐部(一部膜様部)欠損による大動脈弁逸脱・逆流が顕著で,進行性の場合や,圧較差 50 mmHg 以上の右室流出路狭窄を認める場合は手術を考慮する
詳しくは日本循環器学会「成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)」をご覧ください。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_ichida_h.pdf

【お茶の水循環器内科の方針】
先天性心疾患の多くは子どもの頃に発見されますが、大人になってから発見されることも珍しくありません。心電図、胸部レントゲン、ホルター心電図、心エコー等で評価を行い、心不全の評価、手術が必要な場合は適切な医療機関へと紹介します。術後で安定している方は、定期的に心不全や不整脈の出現がないかをフォローしています。いずれにせよ、検診で心雑音や心電図異常を指摘された方は放置をせずに一度受診ください。


心房中隔欠損

【心房中隔欠損とは】
心房中隔欠損(Atrial septal defect: ASD)とは、先天性心疾患の一つです。右心房と左心房を隔てる心房中隔は、右心房の血液と左心房の血液が混ざらないようにしています。生まれつき心房中隔に孔が空いていることがあり、心房中隔欠損と言います。先天性心疾患は人口の1%程度、心房中隔欠損は先天性心疾患の5-10%を占めます。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ppc/cardiovascular/tr05_asd.html

【心房中隔欠損の診断】
診断は心エコーにて心房中隔の欠損を確認することによって行います。幼少期に検診等で引っかかり診断が付いている場合もあれば、無症状または症状がほとんどない場合もあり、成人後に見つかる場合もあります。10mm未満の欠損孔は自然閉鎖することもある一方で、10mm以上のサイズの心房中隔欠損はほとんど自然閉鎖しないと言われています。成人後は、息切れ、動悸、易疲労感等の心不全症状、心房細動等の不整脈をきっかけに見つかることもあります。通常は、左心房のほうが右心房よりも圧が高いので、左→右へ血液が流れています。全身へ送り出すはずの血液がもう一回肺へ循環するので、その分肺や心臓に負担が掛かります。肺の血管が固くなり、肺高血圧症を来すと、右心房と左心房の圧が同じになるか逆に右心房のほうが左心房よりも圧が高くなり、右→左へと血液が流れるようになります。アイゼンメンゲル症候群(Eisenmenger’s syndrome)といい、静脈の血液がそのまま全身へ流れるようになってしまい、チアノーゼを来します。 →https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000078.html

【心房中隔欠損の治療】
心房中隔欠損閉鎖術で、心房中隔の欠損を閉じます。手術で直接治す外科的閉鎖術と、カテーテルによる経皮的デバイス閉鎖術とがあります。アイゼンメンゲル化を来してしまうと閉鎖してしまうことで肺高血圧症を悪化させてしまうため、手術が出来なくなってしまうため、心移植が唯一の治療法になります。そのためアイゼンメンゲル化を起こす前の発見、治療が望まれます。日本循環器学会「成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)」に手術適応基準が以下のようなあります。
ASDに対する閉鎖術の適応
クラス I
1. 症状の有無にかかわらず,右房・右室拡大を認めるような有意な左―右短絡(目安として Qp/Qs > 1.5)があり,PVR < 5 Wood 単位(400 dynes・秒・cm-5 )の症例
2. 一次孔欠損型,静脈洞型,冠静脈洞型に対する外科的閉鎖術
3. 経皮的デバイス閉鎖術を行う場合,施設基準を満たした施設で,術者基準を満たした医師が施行する
クラスIIa
1. 欠損孔の大きさにかかわらず,ASD による奇異性塞栓症発症例または体位変換性低酸素血症(orthodeoxia-platypnea)が 証明された症例
2. デバイス閉鎖術に適した形態(38 mm 未満で前縁以外の周囲縁が 5 mm 以上)の二次孔欠損型に対するデバイス閉鎖術
3. 同時手術を要するような合併症(中等度以上の三尖弁逆流や僧帽弁逆流,部分肺静脈還流異常など)を有する症例またはデバイス閉鎖術が適さない形態を有する症例に対する外科的閉鎖術
クラス IIb
1. PVR > 5 Wood 単位 (400 dynes・秒・cm-5 )であっても,肺動脈圧 / 体動脈圧< 2/3 または PVR / 体血管抵抗< 2/3 で左―右短絡が証明された症例
クラス III
1. 非可逆的 PH で左―右短絡のない症例
詳しくは日本循環器学会「成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)」をご覧ください。
https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_ichida_h.pdf

【お茶の水循環器内科の方針】
先天性心疾患の多くは子どもの頃に発見されますが、大人になってから発見されることも珍しくありません。心電図、胸部レントゲン、ホルター心電図、心エコー等で評価を行い、心不全の評価、手術が必要な場合は適切な医療機関へと紹介します。術後で安定している方は、定期的に心不全や不整脈の出現がないかをフォローしています。いずれにせよ、検診で心雑音や心電図異常を指摘された方は放置をせずに一度受診ください。


咳嗽・喀痰の診療ガイドライン

【咳嗽・喀痰の診療ガイドラインとは】
2019年4月、日本呼吸器学会から「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」が発行されました。日本呼吸器学会では、2015年に「咳嗽に関するガイドライン初版」、2012年に「咳嗽に関するガイドライン第2版」を発行、今回が3回目の改訂とともに咳嗽と密接に関連している喀痰についても含んだガイドライン改訂となりました。詳しくは日本呼吸器学会のページをご覧ください。
日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」→https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=121
https://www.amazon.co.jp/dp/4779222389

【咳嗽の鑑別診断】
まず、咳嗽は持続期間、喀痰の有無によって分類します。具体的には、3週間未満の急性咳嗽、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽に分類します。喀痰の有無によって乾性咳嗽と湿性咳嗽に分類します。咳嗽はほぼ全ての呼吸器疾患が原因となる可能性があります。肺炎、肺癌、肺塞栓症などの重篤化しうる疾患の鑑別が重要です。心不全も慢性咳嗽の原因となります。「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」 では咳嗽の鑑別疾患として下記のように整理しています。また新たな概念として難治性咳嗽などにも言及されています。
・感染性咳嗽、感染後咳嗽
・急性気管支炎、肺炎、マイコプラズマ、百日咳、クラミドフィラ
・結核、非結核性抗酸菌症
・慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喫煙、受動喫煙
・副鼻腔気管支症候群(SBS)
・びまん性汎細気管支炎(DPB)
・気管支拡張症(BE)
・急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、後鼻漏症候群(PWDS)
・気管支喘息
・咳喘息(CVA)、アトピー咳嗽、咽頭アレルギー
・胃食道逆流症(GERD)
・間質性肺炎(IP)
・腫瘍、肺癌
・異物
・睡眠時無呼吸症候群
・薬剤性咳嗽
・職業性・環境因子
・難治性咳嗽(UCC、CHS)
・真菌関連慢性咳嗽(FACC)
・Somatic Cough Syndrome、Tic Cough
・臓器特異的自己免疫疾患、心室期外収縮、外耳異物
咳嗽の鑑別疾患は多岐に渡りますが、一般的に急性咳嗽では感冒を含む気道感染症が多いのに対し、慢性咳嗽では感染症の頻度が少なく、非感染症が増加する傾向にあります。お茶の水循環器内科では慢性咳嗽の原因として心不全の精査除外に力を入れています。詳しくは日本呼吸器学会のページをご覧ください。
日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」→https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=121

【咳嗽の検査】
・バイタルサイン、体温、呼吸数、動脈血酸素飽和度、血圧
・病歴、身体所見、職業性・環境因子、喫煙歴、服薬歴
・一般血液検査、アレルギー検査、感染症血清学的検査
・喀痰検査、一般細菌、抗酸菌塗抹・培養、細胞診
・気管支鏡検査、上気道ファイバースコピー
・胸部レントゲン、副鼻腔レントゲン
・胸部CT、副鼻腔CT
・スパイロメーター
・FeNO濃度
・消化管内視鏡検査
さらに、専門的な検査として、気道可逆性検査、気道過敏性検査、咳受容体感受性気管支平滑筋収縮誘発咳嗽反応検査、呼吸抵抗測定、気道炎症の評価、24時間pHモニタリング検査、などがあります。専門的な検査が必要な場合には適宜専門の医療機関を紹介します。詳しくは日本呼吸器学会のページをご覧ください。
日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」→https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=121

【お茶の水循環器内科の診療指針】
お茶の水循環器内科の診療指針としては、慢性咳嗽の原因として心不全が原因の場合は治療方針が大きく変わって来るため、心不全の精査に力を入れています。心電図、胸部レントゲン、BNPまたはNT-proBNP、心エコー等によって心不全の有無、心不全を認めた場合は重症度の評価と原因の精査と行います。呼吸器疾患、耳鼻咽喉科疾患、アレルギー性疾患、消化器疾患が疑われる場合は適宜専門の医療機関へと紹介します。詳しくは主治医までご相談ください。


消化器内視鏡検査時の抗血栓薬の取り扱い

【消化器内視鏡検査時の抗血栓薬の取り扱いとは】
消化器内視鏡検査時の抗血栓薬の取り扱いとは、上部消化管内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査時に、抗血小板薬や抗凝固薬という抗血栓薬を中止するか続行するかの判断、中止する場合はいつからどのように中止をするかをまとめたものです。2012年に、日本消化器内視鏡学会、日本循環器学会、日本神経学会、日本脳卒中学会、日本血栓止血学会、日本糖尿病学会が合同で「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」を発表しました。詳しくはガイドラインをご覧ください。ざっくり言うと抗血栓薬を続行すると出血のリスクがあり、抗血栓薬を中止すると血栓症のリスクがあります。出血の危険度と、休薬による血栓塞栓症の危険度を両面から評価し、メリット、デメリットを総合的に判断する必要があります。 本ページでは主にガイドラインの内容をまとめました。
「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」→https://minds4.jcqhc.or.jp/minds/gee/20130528_Guideline.pdf

【抗血栓薬】
抗血栓薬は抗血小板薬と抗凝固薬の総称です。下記に一覧をまとめました。
抗血小板薬
・アスピリン:バイアスピリン(アスピリン)
・チエノピリジン誘導体:プラビックス(クロピドグレル)、エフィエント(プラスグレル)、パナルジン(チクロピジン)
・その他の抗血小板薬:プレタール(シロスタゾール)、エパデール(イコサペンタエン酸)、アンプラーグ(サルポグレラート)、プロサイリン(ベラプロスト)、オパルモン(リマプロスト)、ロコルナール(トラピジル)、コメリアン (ジラセプ)、ペルサンチン(ジピリダモール)、他
抗凝固薬
・ワーファリン(ワルファリン)
・ヘパリン(ヘパリン)
・プラザキサ(ダビガトラン)、エリキュース(アピキサバン)、リクシアナ(エドキサバン)、イグザレルト(リバーロキサバン)
・他

【出血危険度分類】
まずは内視鏡の検査や操作によって、出血危険度による分類を行います。具体的には以下の通りです。
1.通常消化器内視鏡
上部消化管内視鏡(経鼻内視鏡を含む)
下部消化管内視鏡
超音波内視鏡
カプセル内視鏡
内視鏡的逆行性膵胆管造影
2.内視鏡的粘膜生検(超音波内視鏡下穿刺吸引術を除く)
3.出血低危険度の消化器内視鏡
バルーン内視鏡
マーキング(クリップ,高周波,点墨,など)
消化管,膵管,胆管ステント留置法(事前の切開手技を伴わない)
内視鏡的乳頭バルーン拡張術
4.出血高危険度の消化器内視鏡
ポリペクトミー(ポリープ切除術)
内視鏡的粘膜切除術
内視鏡的粘膜下層剝離術
内視鏡的乳頭括約筋切開術
内視鏡的十二指腸乳頭切除術
超音波内視鏡下穿刺吸引術
経皮内視鏡的胃瘻造設術
内視鏡的食道・胃静脈瘤治療
内視鏡的消化管拡張術
内視鏡的粘膜焼灼術
その他
【休薬による血栓塞栓症の高発症群】
さらに、休薬による血栓塞栓症の高発症群として以下のように定められました。
抗血小板薬関連
冠動脈ステント留置後2カ月
冠動脈薬剤溶出性ステント留置後12カ月
脳血行再建術(頸動脈内膜剝離術,ステント留置)後2カ月
主幹動脈に50%以上の狭窄を伴う脳梗塞または一過性脳虚血発作
最近発症した虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作
閉塞性動脈硬化症でFontaine 3度(安静時疼痛)以上
頸動脈超音波検査,頭頸部磁気共鳴血管画像で休薬の危険が高いと判断される所見を有する場合
抗凝固薬関連
心原性脳塞栓症の既往
弁膜症を合併する心房細動
弁膜症を合併していないが脳卒中高リスクの心房細動
僧帽弁の機械弁置換術後
機械弁置換術後の血栓塞栓症の既往
人工弁設置
抗リン脂質抗体症候群
深部静脈血栓症・肺塞栓症
ワルファリン等抗凝固薬療法中の休薬に伴う血栓・塞栓症のリスクは様々であるが,一度発症すると重篤であることが多 いことから,抗凝固薬療法中の症例は全例,高危険群として対応することが望ましいとされています。

【各論まとめ】
ガイドラインでは様々なケースについて具体的にステートメントがまとめられています。詳しくはガイドラインをご覧ください。
「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」→https://minds4.jcqhc.or.jp/minds/gee/20130528_Guideline.pdf
下記、日常臨床として特に重要なものをまとめました。
ステートメント1
消化器内視鏡検査・治療において,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,抗凝固薬のいずれかを休薬する可能性がある場合には,事前に処方医と相談し休薬の可否を検討する.原則として患者本 人に検査・治療を行うことの必要性・利益と出血などの不利益を説明し,明確な同意の下に消化器内視鏡を行うことを徹底する.
ステートメント2
通常の消化器内視鏡は,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,抗凝固薬のいずれも休薬なく施行可能である.
ステートメント3
内視鏡的粘膜生検は,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,抗凝固薬のいずれか 1 剤を服用し ている場合には休薬なく施行してもよい.ワルファリンの場合は,PT-INR が通常の治療域であることを確認して生検する. 2 剤以上を服用している場合には症例に応じて慎重に対応する.生検では,抗血栓薬服薬の有無にかかわらず一定の頻度で出血を合併する.生検を行った場合には,止血を確認 して内視鏡を抜去する.止血が得られない場合には,止血処置を行う.
ステートメント4
出血低危険度の消化器内視鏡は,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,抗凝固薬のいずれも休薬なく施行してもよい.ワルファリンの場合は,PT-INR が通常の治療域であることを確認する.
ステートメント5
出血高危険度の消化器内視鏡において,血栓塞栓症の発症リスクが高いアスピリン単独服用者では休薬なく施行してもよい.血栓塞栓症の発症リスクが低い場合は3~5日間の休薬を考慮する.
ステートメント6
出血高危険度の消化器内視鏡において,アスピリン以外の抗血小板薬単独内服の場合には休薬を原則とする.休薬期間はチエノピリジン誘導体が5~7日間とし,チエノピリジン誘導体以外の抗血小板薬は1日間の休薬とする.血栓塞栓症の発症リスクが高い症例ではアスピリンまたはシロスタゾールへの置換を考慮する.
ステートメント7
出血高危険度の消化器内視鏡において,ワルファリン単独投与またはダビガトラン単独投与の場合はヘパリンと置換する.
ステートメント8
出血高危険度の消化器内視鏡において,アスピリンとアスピリン以外の抗血小板薬併用の場合には,抗血小板薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が好ましい.内視鏡の延期が困難な場合には,アスピリンまたはシロスタゾールの単独投与とする.休薬期間はチエノピリジン誘導体が5~7日間,チエノピリジン誘導体以外の抗血小板薬が1日間を原則とし,個々の状態に応じて適時変更する.
ステートメント11
出血高危険度の消化器内視鏡において,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,ワルファリンまたはダビガトランの3剤併用の場合には,抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が好まし い.内視鏡の延期が困難な場合には,アスピリンまたはシロスタゾール投与にして,その他の抗血小板薬は休薬する.ワルファリンまたはダビガトランはヘパリンと置換する.
ステートメント12
抗血栓薬休薬後の服薬開始は内視鏡的に止血が確認できた時点からとする.再開は,それまでに投与 していた抗血栓薬とする.再開後に出血することもあるので,出血に対する対応は継続する.
「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」→https://minds4.jcqhc.or.jp/minds/gee/20130528_Guideline.pdf