【携帯型心電計とは】
携帯型心電計(Home electrocardiogram)とは、日常生活の中で使える家庭用の携帯型の心電計です。動悸や胸痛などの症状が発作性に出る場合、診断のためには症状出現時の心電計記録が重要になります。不整脈の診療において正確な診断のためには症状出現時の心電図記録が極めて重要だからです。今回は、症状出現時の心電図記録の方法の一つとして、携帯型心電計を紹介します。
【症状出現時の心電図記録の方法】
症状出現時の心電図記録には主に4つの方法があります。いずれかの方法で症状出現時の心電図記録を目指します。
1、来院時心電図
2、ホルター心電図
3、携帯型心電計
4、埋込型心電計
一番理想は来院時に症状出現しており、そのまま症状出現時の心電図記録が可能な場合です。症状出現時の心電図記録が出来ればその場で診断が着きます。次に、来院時に症状がない場合に適応になるのがホルター心電図です。24時間から長期のもので7日間程度まで連続して心電計記録が可能で、24時間の間に1回以上、7日間の間に1回以上、症状が出現する場合は、症状出現時の心電図記録が出来れば確実に診断をすることが出来ます。症状出現時の心電図記録のために、ホルター心電図を何回か繰り返し行う場合もあります。詳しくはホルター心電図のページをご覧ください。
ホルター心電図→https://循環器内科.com/holter
問題は、ホルター心電図を何度か繰り返し行っても症状出現時の心電図記録が捕まらない場合や症状の頻度によっては症状出現時の心電図記録が難しい場合があります。その場合に、携帯型心電計が有用です。日常生活の中で使える家庭用の携帯型の心電計で、動悸や胸痛などの症状が出た時のために携帯していただき、その場で記録が出来ることがメリットです。
【オムロン携帯型心電計 HCG-801】
携帯型心電計として、オムロンの「携帯型心電計 HCG-801」を紹介します。日本のメーカー、オムロン製で、「管理医療機器」を取得しています。症状出現時の心電図記録に成功すれば診断が可能です。実際にお茶の水循環器内科では、何年も診断が着かずに困っていた方が、このオムロンの携帯型心電計にて症状出現時の心電図記録に成功し、不整脈の確定診断が着き、治療方針が明確になった方、その後カテーテルアブレーション治療へ進み、症状が治癒した方など、何名かいます。家庭用の医療機器なので、ご自身でご購入いただく必要があります。家電量販店では取り扱っていないところも多いので、amazonが確実でしょう。解析ソフト付き、純正のSDカード付きなどがありますが、心電図記録だけであれば「携帯型心電計 HCG-801」単体のもので必要十分です。詳しくは下記リンクをご覧ください。
オムロン「携帯型心電計 HCG-801」→https://www.healthcare.omron.co.jp/medical/products/HCG-801/index.html
amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/B0085Q0G32
他にもいくつかのメーカーから携帯型心電計がありますが、心電計記録が確実に可能なもの、管理医療機器認証を取得しているものなど精度が確かなものを選んでください。他にリストバンド式の脈拍計などもありますが、不整脈の診断においては脈拍ではなく心電の情報であることが重要なので、脈拍計ではなく心電計を選んでください。
【埋込型心電計】
最後の手段として埋込型心電計という方法があります。これは、小型の心電計を体内に埋め込むことにより、バッテリーは最長3年間、症状出現時の心電図を確実に記録します。体内にセンサーを埋込むので手術の必要があること、本当に必要な方が適応となります。飛行機の操縦士、新幹線の運転、トラックの運転、高所作業などに関わる仕事の方は、一回の発作が重大な事故を引き起こす危険性があるため、確実な診断が必要ば場合があります。必要な場合は専門の診療科へ紹介します。詳しくは下記ページをご覧ください。
東京大学医学部付属病院循環器内科不整脈チーム→https://cardiovasc.m.u-tokyo.ac.jp/clinical/arrythmia/icm
順天堂大学医学部付属順天堂医院循環器内科→https://www.juntendo.ac.jp/hospital/information/topics/detail/no90.html
聖マリアンナ医科大学東横病院「失神センター」→https://marianna-toyoko.jp/g0102002