腎機能障害

【腎機能障害とは】

腎機能障害とは、何らかの原因で腎機能が低下している状態です。腎機能低下の原因は多岐に渡りますが、代表的なものとして、加齢による自然な腎機能低下、糖尿病による糖尿病性腎症、高血圧症による腎硬化症、腎機能に影響を与える薬剤性、などが多いです。腎機能は一度失ってしまうと後から腎機能を元に戻す治療法が原則ないため、第一に予防が一番重要です。特に、糖尿病による糖尿病性腎症、高血圧症による腎硬化症は、それぞれ糖尿病、高血圧症に対する治療を適切に行うことで十分に予防可能です。腎機能障害は末期になるまで自覚症状がほとんどないため、検診等で腎機能障害を指摘されていたら必ず放置しないようにしましょう。

【腎機能の検査】

腎機能の評価は、CGA、原疾患(Cause: C)、腎機能(GFR: G)、蛋白尿(アルブミン尿: A)の3項目CGAにて評価します。まずは採血検査にてクレアチニンCrの値を調べ、推定糸球体濾過率(estimated Glomerular Filtration Rate: eGFR)から腎機能のステージを評価します。具体的には、eGFRが60以上あり急激な低下もなければ腎機能としてはまずは大きな心配はありません。eGFRが60や45を切って来ると腎機能低下です。eGFRが30を下回ると腎不全という状態で透析導入について検討し始める時期で、eGFRが15を切ると透析導入のステージです。腎機能障害は自覚症状がほとんどありません。腎不全で尿毒症という末期症状が出るのはeGFRで15や10を切ってからです。一度失ってしまった腎機能を元に戻る治療法は腎移植以外にないため、悪化させないことが非常に重要です。腎機能悪化の原因として、糖尿病、高血圧症、二次性高血圧症、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、などを調べます。腎機能低下リスクの指標として、微量アルブミン尿、顕性蛋白尿がありますので尿検査にて調べます。必要に応じて、腹部エコー、腹部CT、腹部造影CTなどを追加して行きます。腎機能低下の原因疾患がハッキリとわからない場合、確定診断のためのさらに詳しい検査、腎生検など専門的な検査が必要な場合、腎臓内科にて紹介で詳しく調べてもらっています。詳しくはCKDガイドラインをご覧ください。

https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKDguide2012.pdf

https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf

【腎機能障害の治療】

腎機能障害の治療は原疾患に対する治療です。糖尿病と高血圧症は明らかな腎機能低下のリスクですので、糖尿病があれば糖尿病、高血圧症があれば高血圧症、両方あれば両方をしっかりと治療します。喫煙、脂質異常症も全身の動脈硬化の原因で腎機能低下のリスクですので、喫煙があれば禁煙、脂質異常症があれば脂質異常症の治療をします。高尿酸血症も重度の場合は痛風腎と言って腎機能低下のリスクです。喫煙も腎機能低下の進行を早めることがわかっています。

・高血圧症→https://循環器内科.com/ht

・脂質異常症→https://循環器内科.com/dl

・糖尿病→https://循環器内科.com/dm

・高尿酸血症→https://循環器内科.com/hu

・喫煙→https://循環器内科.com/smoking

腎機能低下を抑えるための治療として、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬などを使います。腎機能低下による合併症に対する治療として、高カリウム血症の治療、高リン症の治療、低カルシウム血症の治療、腎性貧血の治療、腎性副甲状腺機能亢進症の治療、腎性骨粗鬆症の治療、腎性の浮腫みに対する治療などがあります。また、腎不全のステージによっては様々な食事療法が必要になります。末期の腎不全に対しては腎代替療法として血液透析、腹膜透析があり、根治療法の選択肢として腎移植がありますが、腎臓内科専門医の領域になりますので割愛します。

慢性腎臓病→https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000408.html

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。