心臓サルコイドーシス

【サルコイドーシスとは】
サルコイドーシス(Sarcoidosis)とは、全身に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫という特徴的な病変が出来る病気です。サルコイドとはラテン語で「肉のようなもの」という意味で、それが全身に出来ることをサルコイドーシスと言います。原因は不明ですが、免疫系が関係があるのではないかと考えられています。自覚症状ありが60-70%、30-40%が検診等で見つかる自覚症状なしです。自覚症状としては、臓器特異的症状と、臓器非特異的な全身症状の2つがあり、後者としては、全身倦怠感、体重減少、微熱、寝汗、疼痛、息切れなどがありますが、はっきりしないことも多いです。臓器特異的症状として、眼、肺、心臓、神経、皮膚、筋肉、骨、腎臓、消化管などがあります。特にサルコイドーシスの心臓病変のことを「心臓サルコイドーシス」と呼びます。

【心臓サルコイドーシスとは】
心サルコイドーシス(Cardiac sarcoidosis)とは、サルコイドーシスの心臓病変ことであり、サルコイドーシス全体の25%程度と報告されています。心臓のサルコイドーシスの場所によりますが、刺激伝導系の障害では、脚ブロック、房室ブロックが起こることがあります。心室の障害としては、心室性不整脈として、心室期外収縮、心室頻拍、心室細動などがあります。心筋の障害としては、心機能低下、収縮機能障害、拡張機能障害のいずれも起こることがあり、心不全症状を来します。血清ACE、血清リゾチーム、BNPまたはNP-proBNP、sIL-2R、胸部レントゲン、胸部CT、心電図、心エコー、心臓MRI、F-FDG PET、Ga citrate シンチグラフィ、心臓カテーテル検査、電気生理学的検査、心筋生検の適応を考えます。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf

【サルコイドーシスの診断】
サルコイドーシスの診断はやや複雑ですが、類上皮細胞肉芽腫の組織診断がなされているものか、まはた肺、眼、心臓のうち2つ以上を認めるものです。
組織診断群:
・全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が陽性
・既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できているもの
臨床診断群:
類上皮細胞肉芽腫病変は証明されていないが、呼吸器、眼、心臓の3臓器中の2臓器以上において本症を強く示唆 する臨床所見を認め、かつ、特徴的な検査所見の5項目中2項目以上が陽性のもの:
1、両側肺門リンパ節腫脹
2、血清ACE活性高値または血清リゾチーム値高値
3、sIL-2R高値
4、67Ga citrate シンチグラフィまたは18F-FDG PET における著明な集積所見5、BAL検査でリンパ球比率上昇、CD4/CD8 比が3.5を超える上昇
これらの検査でサルコイドーシスが疑われた場合には、専門医に紹介します。

【心臓サルコイドーシスの診断】
心臓サルコイドーシスの診断基準としては、以下の基準があります。

心臓サルコイドーシスの診断指針
心臓病変の臨床所見
心臓所見は主徴候と副徴候に分けられる。次の 1)または 2)のいずれかを満たす場合、心臓病変を強く示唆する臨床所見とする。
1)主徴候(a)~(e)5項目中2項目以上が陽性の場合
2)主徴候(a)~(e)5項目中1項目が陽性で、副徴候(f)~(h)3項目中2項目以上が陽性の場合
1.主徴候
(a)高度房室ブロック(完全房室ブロックを含む)または致死性心室性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動など)
(b)心室中隔基部の菲薄化または心室壁の形態異常(心室瘤、心室中隔基部以外の菲薄化、心室壁の局所的肥厚)
(c)左室収縮不全(左室駆出率50%未満)または局所的心室壁運動異常
(d)Ga citrateシンチグラフィまたはF-FDG PET での心臓への異常集積
(e)ガドリニウム造影MRIにおける心筋の遅延造影所見
2.副徴候
(f) 心電図で心室性不整脈(非持続性心室頻拍、多源性あるいは頻発する心室期外収縮)、脚ブロック、軸偏位、異常Q波のいずれかの所見
(g)心筋血流シンチグラフィ(SPECT)における局所欠損
(h)心内膜心筋生検:単核細胞浸潤および中等度以上の心筋間質の線維化
心臓サルコイドーシスの診断指針
1)組織診断(心筋生検陽性)
心内膜心筋生検あるいは手術などによって心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められる場合、心臓サルコイドーシス(組織診断)とする。
2)臨床診断(心筋生検陰性または未施行)
(1)心臓以外の臓器で類上皮細胞肉芽腫が陽性であり,かつ上記の心臓病変を強く示唆する臨床所見を満たす場合
または
(2)呼吸器系あるいは眼でサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見があり、かつ特徴的な検査所見の5項目中2項目以上が陽性であって、上記の心臓病変を強く示唆する臨床所見を満たす場合に、心臓サルコイドーシス(臨床診断)とする。
付記
1、虚血性心疾患と鑑別が必要な場合は、冠動脈検査(冠動脈造影、冠動脈CTあるいは心臓MRI)を施行する。
2、心臓以外の臓器でサルコイドーシスと診断後、数年を経て心臓病変が明らかになる場合がある。そのため定期的に心電図、心エコー検査を行い、経過を観察する必要がある。
3、心臓限局性サルコイドーシスが存在する。
4、F-FDG PETは、非特異的(生理的)に心筋に集積することがあるため撮像条件に注意が必要である。撮像方法は、日本心臓核医学会の「心臓サルコイドーシスに対する 18F FDG PET 検査の手引き」に準拠する。
5、乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が心内膜心筋生検で観察される症例は必ずしも多くない。したがって複数のサ ンプルを採取することが望ましい。
6、心内膜心筋生検あるいは手術などによって心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められ、かつ、既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できている場合、サルコイドーシスの組織診断群として扱う。
7、F-FDG PETの現在の保険適用の範囲は、「心臓サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者」と規定されていることに注意が必要である。
さらに、心臓限局性サルコイドーシスがあることが報告されており、「心臓限局性サルコイドーシス診断の手引き」があります。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf

【サルコイドーシスの治療】
治療に関しては専門医に紹介しますが、無治療で経過観察を行う場合から、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬が必要になる場合まで幅広くあります。
心臓サルコイドーシスでは、伝導障害と、心室性不整脈の2つが問題となります。
・房室ブロックは心臓サルコイドーシスの症状として最も多く、高度房室ブロックではペースメーカーの適応を考慮します。
・心室頻拍は心臓サルコイドーシスの症状として房室ブ ロックの次に多く、約 23%に出現すると報告されています。持続性心室頻拍を認めた場合には、埋込み型除細動器の適応を考慮します。または、一般的にβブロッカーを使います。
他に、カテーテルアブレーション、心臓再同期療法、外科的治療、植込型補助人工心臓、心臓移植があります。詳しくは日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」をご覧ください。
日本循環器学会「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」 →http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2016_terasaki_h.pdf


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