【冠動脈バイパス術とは】
冠動脈バイパス術(Coronary artery bypass grafting: CABG)とは、虚血性心疾患の治療法の一つで、冠動脈の血流が悪いところに、大動脈から新しく血管をつなぐことで血流を改善させる治療法です。狭心症の症状の改善と心筋梗塞の発症を予防します。人工心肺装置を使用する方法(On-pump CABG)と、人工心肺装置を使用しない方法(Off-pump CABG: OPCAB)があります。
「冠動脈バイパス術(Coronary artery bypass grafting: CABG)
→https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/hcs/coronary.html
「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン(2011年改訂版)」→https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_ochi_h.pdf
【冠動脈バイパス術の適応】
「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」によると、安定冠動脈疾患に対する冠血行再建術(PCI/CABG)の適応として、
(1)安定冠動脈疾患に対しては,まず生活習慣の管理と薬物療法が必須であり,症状や予後改善効果があると考えられる病変に対しては冠血行再建術を施行する.
(2)LAD近位部病変を含まない1枝あるいは2枝病変はPCIの適応である.
LAD近位部病変を含む1枝あるいは2枝病変についてはPCI/CABGともに考慮す
る.
ただしLAD入口部病変ではCABGを考慮する.
(3)3枝疾患は原則としてCABGの適応である.
ただしCABGのリスクが高い場合や,LAD近位部病変を含まないなどPCIが安全に施行されると判断される場合はPCIも選択可能である.
(4)非保護左主幹部病変は原則としてCABGの適応である.
ただしCABGのリスクが高いと判断される場合や,LMT入口部,体部などPCIが安全に施行できると判断される場合はPCIも選択可能である.その場合でも緊急CABGが迅速に行える体制が必須である.
以上の適応はあくまで基本原則であり,個々の患者の治療方針は,その臨床的背景や解剖学的条件,各施設の成績や体制,長期的課題などすべてを勘案し,特に重症冠動脈疾患では内科医と外科医が共同で討議して,患者に提案する
と記載されてています。
グラフト血管は、左内胸動脈(LITA)、右内胸動脈(RITA)、右胃大網動脈(GEA)、下腹壁動脈(IEA)、橈骨動脈(RA)、大伏在静脈(SVG)などが選ばれます。
詳しくは「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」をご覧ください。
「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン(2011年改訂版)」→https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_ochi_h.pdf
【冠動脈バイパス術が必要な場合】
冠動脈バイパス術が必要な場合、心臓血管外科がある医療機関に紹介します。都内であれば、榊原記念病院、東京大学医学部附属病院、慶應義塾大学病院、東京女子医科大学病院などに紹介することが多いです。詳しくは主治医までご相談ください。
「冠動脈バイパス術(Coronary artery bypass grafting: CABG)
→https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/hcs/coronary.html