川崎病

【川崎病とは】
川崎病(Kawasaki disease)とは、小児の全身性の血管炎症候群で、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも呼びます。1967年に小児科医の川崎富作先生が発見しました。原因は不明ですが、ウイルスや細菌の感染とそれに対する自己免疫が関与しているのではないかと考えられています。川崎病の問題点はその後に後遺症として冠動脈瘤を形成することがあることです。循環器内科.comでは主に川崎病の後遺症としての冠動脈瘤について説明します。川崎病の急性期の診断や治療については小児科を受診ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000624.html

【川崎病の後遺症としての冠動脈瘤】
川崎病に罹患すると、川崎病自体の症状は通常1-2週間で治りますが、後遺症として心臓の血管、冠動脈に冠動脈瘤を形成することがあります。川崎病に罹患した小児の10-20%程度と言われています。川崎病の発症後30日前後で冠動脈瘤の有無を評価、その後、冠動脈瘤は1年程度で退縮することもありますが、その後も冠動脈瘤として残る場合あり、おおよそ半数程度と言われています。乳幼児の冠動脈の大きさは2mm程度ですが、7mm以上、10mm以上になると、血流が鬱滞し、血栓が出来やすくなります。血栓が遊離し、その先の冠動脈に血栓が詰まると、心筋梗塞を引き起こします。川崎病について詳しくは日本川崎病学会のページをご覧ください。
https://www.jskd.jp

【冠動脈瘤の検査】
冠動脈瘤の有無や程度の評価は、エコー、冠動脈カテーテル検査によって行います。通常、川崎病の後遺症としての冠動脈瘤は、川崎病発症後1-2年で起こり、その後退縮していく場合もありますが、10年、15年と長期間掛けて冠動脈瘤から冠動脈狭窄を来す場合があります。1980年前後から川崎病の急性期に、バイアスピリンや免疫グロブリン療法等の普及によって冠動脈瘤は減って来ているとのことですが、免疫グロブリン療法を行っても冠動脈瘤を発生する例があること、免疫グロブリン療法が普及する以前に川崎病に罹患した場合、川崎病の初期は発熱やリンパ節腫脹等で単なる風邪と見分けることは難しいため、川崎病に掛かったかどうかわからない場合等、注意が必要です。詳しくは国立循環器病研究センターのページをご覧ください。
https://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/child/pamph31.html

【お茶の水循環器内科の方針】
川崎病の既往がある方で成人後に冠動脈瘤が見つかる例は珍しくありません。川崎病の後遺症としての冠動脈瘤や冠動脈狭窄は10年、15年という長期間後に発生することもある後遺症であるので、急性期の時期には特に異常がないと言われていてもその後に冠動脈瘤を来すことがあるということ、または、もともと川崎病の後遺症による冠動脈病変があったところに、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙等の冠動脈疾患の危険因子が後天的に重なり、冠動脈疾患を発症してしまう可能性など注意が必要です。また川崎病の診断基準は臨床診断であり、診断基準を完璧に満たさない非典型例も多く、ほとんどの場合ただの風邪と見分けが着かないことも大いにある点も注意です。お茶の水循環器内科の方針としては、いずれにせよ、わからない場合は冠動脈を評価しておいたほうが安全と考えています。冠動脈CTや心臓MRI等でスクリーニング検査があります。冠動脈精査の必要性についてはまずは主治医に相談ください。