発作性上室頻拍

【発作性上室頻拍とは】

発作性上室頻拍(Paroxysmal supraventricular tachycardia: PSVT)とは、頻脈性不整脈の一つで、心拍数が140-200くらいの頻拍が、突然始まって、突然終わるというのが特徴です。発作性上室頻拍は心房と房室結節を含む上室に起こる頻発性不整脈の総称で、通常、心房細動と心房粗動は含みません。詳しくは日本不整脈心電学会のページをご覧ください。

https://new.jhrs.or.jp/public/lecture/lecture-2/lecture-2-a-6

【発作性上室頻拍の診断】

発作性上室頻拍は心電図検査によって診断します。心電図検査で捕まらない場合は、ホルター心電図にて症状出現時の心電図記録が必要です。電気生理学的検査によって不整脈の発生源を特定、リエントリーを来している部位によって分類があります。

・房室リエントリー性頻拍(Atrioventricular reentrant tachycardia: AVRT)

・WPW症候群に伴う房室結節リエントリー性頻拍(Atrioventricular nodal reentrant tachycardia: AVNRT)

・心房頻拍(Atrial tachycardia: AT)

・洞結節リエントリー性頻拍(Sinus node reentry tachycardia)

・心房内リエントリー性頻拍

頻脈が数日以上続くと心不全を来すことがありますので、採血、心エコー等によって適宜心機能を評価します。また、冠危険因子の有無や程度によっては冠動脈まで精査を行います。

【発作性上室頻脈の治療】

カテーテルアブレーションによって根治が可能です。ただ、発作の頻度がそこまで多くない場合には、迷走神経刺激法や抗不整脈薬にて症状を和らげます。発作の頻度が年に数回の場合は診断が難しいですが、抗不整脈薬単回経口投与(Pill in the pocket)にて経過観察を行う場合もあります。

・迷走神経刺激法

副交感神経を活性化させて、洞房結節の伝導を抑制し、発作性上室頻拍の停止が出来る場合があります。息こらえ、深呼吸、冷たい水を飲む、氷水に顔を付ける、頸動脈洞マッサージ、などの方法があります。止まる場合と止まらない場合があります。

・ワソラン(ベラパミル)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ジゴシン(ジゴキシン)、アリサミン(プロカインアミド)、タンボコール(フレカイニド)、他

房室伝導を抑制、または心室レートを和らげる抗不整脈薬を使います。発作予防効果は60-70%程度ですので、十分に発作予防が認められない場合は、カテーテルアブレーションへと進みます。

・抗不整脈薬単回経口投与(Pill in the pocket)

発作の頻度がそこまで多くない場合、ワソラン(ヘルベッサー)などの抗不整脈薬を症状出現時のみ頓用で内服する方法もあります。

・アデホス(アデノシン)、急速静注によって発作性上室頻脈を停止させます。救急外来または入院にて行います。

・循環動態が不安定な場合は、直流除細動、入院管理を行います。

詳しくは「不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版)」をご覧ください。

「不整脈薬物治療に関するガイドライン」→https://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_kodama_h.pdf

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