クッシング症候群

【クッシング症候群とは】
クッシング症候群(Cushing syndrome)とは、コルチゾール過剰分泌による二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。クッシング症候群のうち、副腎皮質刺激ホルモン(Adrenocorticotropic hormone: ACTH)依存性クッシング症候群として、下垂体のACTH分泌腫瘍が原因のものをクッシング病、下垂体以外にACTHを生成する腫瘍が原因の場合を異所性ACTH産生腫瘍、ACHT非依存性クッシング症候群として、コルチゾールを生成する副腎腺腫による狭義のクッシング症候群、ACTH非依存性大結節性副腎過形成等の分類があります。

【クッシング症候群の診断】
クッシング症候群に特徴的な症候として、コルチゾール過剰による中心性肥満、満月様顔貌、野牛様脂肪沈着、赤色皮膚線条、皮膚の菲薄化、アンドロゲン過剰による多毛、ざ瘡などの男性化、などがあります。非特異的症候としては高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、尿路結石、爪白癬、好酸球減少、低カリウム血症などがあります。スクリーニング検査としては採血にて、血中ACTH、血中コルチゾール、尿中遊離コルチゾール測定します。さらに確定診断のための検査としては、デキサメサゾン抑制試験、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone: CRH)試験、頭部MRI検査により下垂体腫瘍の有無の評価、副腎CTにより副腎腫瘍の有無の評価、異所性ACTH産生症候群との鑑別のため必要があれば選択的静脈洞血サンプリングなどの専門的検査があります。お茶の水循環器内科の方針としてはスクリーニング検査にて採血または頭部MRI検査にてクッシング症候群を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本間脳下垂体腫瘍学会「クッシング病の診断の手引き」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/cushing.pdf

【クッシング症候群の治療】
お茶の水循環器内科の方針としては、二次性高血圧症のスクリーニング検査として採血にてクッシング症候群を疑った場合には内分泌内科に紹介し、精査及び治療を行うようにしています。治療の原則は、クッシング症候群を引き起こしている原因を特定し、ホルモンの状態を正常な状態に戻すことです。具体的には、
・クッシング病の場合は経蝶形骨洞下垂体手術による下垂体腫瘍摘出術
・異所性ACTH産生腫瘍の場合は原因病巣の外科的摘出
・副腎腺腫の場合は腹腔鏡下副腎摘出術
がそれぞれ第一選択になります。詳しくは日本内分泌学会「間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」をご覧ください。
https://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance.html