血管拡張薬

【血管拡張薬とは】

血管拡張薬(vasodilators)とは、血管平滑筋に作用して血管を拡張させる作用のある薬です。主に冠動脈を拡張させる作用のある薬は、狭心症治療として使われます。冠攣縮性狭心症に対しては狭心症発作の予防として使われます。

【血管拡張薬の適応】

急性冠症候群→https://循環器内科.com/acs

労作性狭心症→https://循環器内科.com/eap

冠攣縮性狭心症→https://循環器内科.com/vsa

高血圧症→https://循環器内科.com/ht

血管拡張薬は主に冠動脈を拡張させたい時に使います。労作性狭心症、冠攣縮性狭心症の治療または発作予防に使います。降圧作用も持つことから狭心症があり、高血圧症がある場合には降圧作用も期待して使う場合があります。

【血管拡張薬の分類】

・硝酸薬

ニトロペン(ニトログリセリン)、ニトロール(硝酸イソソルビド)、フランドル(硝酸イソソルビド)、ニトロダーム(ニトログリセリン)、ミニトロテープ(ニトログリセリン)、ミオコールスプレー(ニトログリセリン)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、全身の血管と冠動脈拡張作用で、狭心症発作を解除します。ニトロペンは舌下錠、ニトロールやミオコールはスプレー、フランドルはテープがあります。

・カルシウム拮抗薬

アダラート(ニフェジピン)、アムロジン(アムロジピン)、コニール(ベニジピン)、カルブロック(アゼルニジピン)、ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ワソラン(ベラパミル)、非ジヒドロピリミジン系カルシウム拮抗薬です。血管拡張作用で狭心症発作を防ぎます。

・シグマート(ニコランジル)

硝酸薬作用とカリウムATPチャネル開口作用という2つの特徴的な作用で、冠動脈拡張、心筋虚血耐性を高め、狭心症発作を防ぎます。シグマート5mg 3T適宜増減で投与します。

・その他の血管拡張薬

カタプレス(クロニジン)、アルドメット(メチルドパ)、べハイド(レセルピン)、アプレゾリン(ヒドララジン)、エパデール(イコサペント酸エチル)、プレタール(シロスタゾール)、アンプラーグ(サルポグレラート)、交感神経遮断作用、末梢血管の収縮をブロックすることで血管拡張作用を発揮します。また、一部の抗血小板薬には弱い血管拡張作用があります。

硝酸薬は作用時間にもよりますが、硝酸薬耐性を来すこともあります。耐性化した場合には一定の休薬期間を設けるか、耐性化しないように一日の間で休薬時間帯を設けることなどで対処が可能です。血管拡張薬の共通の副作用として、頭痛やふらつきがあります。これは、心臓の血管だけではなく、脳の血管や全身の血管を拡張してしまうからで、脳の血管が急に拡張すると片頭痛発作と似たような作用で頭痛が発生します。逆に頭痛が発生するということは血管拡張作用が効いているという証拠でもあります。ED治療薬のバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)は血管拡張作用により危篤な低血圧症、ショック状態を来すことがあるため併用禁忌です。