【褐色細胞腫とは】
褐色細胞腫(Pheochromocytoma: PCC)とは、神経内分泌腫瘍の一つで、カテコラミン過剰生成による二次性高血圧症の原因疾患の一つです。二次性高血圧症とは何らかの原因があり、その症状の一つして血圧が上がっている状態であり、内分泌疾患としては原発性アルドステロン症、クッシング症候群などがあります。副腎髄質原発のものを褐色細胞腫、副腎外の傍神経節由来のものをパラガングリオーマ(Paraganglioma: PGL)と呼び、両者を包括して褐色細胞腫・パラガングリオーマ(Pheochromocytoma/Paraganglioma: PPGL)と呼びます。褐色細胞腫・パラガングリオーマのうち10-15%は転移性、浸潤性があり、WHOは2017年に全ての褐色細胞腫・パラガングリオーマは転移の可能性があるとして、悪性腫瘍と定義しました。 詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
→https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000143.html
【褐色細胞腫の診断】
臨床症状としては、発作性の血圧上昇、動悸、頻脈、発汗、頭痛、胸痛、不安感など、カテコラミン過剰分泌による多彩な症状を来します。血圧の急激な上昇、高血圧クリーゼの原因になります。血圧正常例、低血圧やショックを起こすこともあるとの報告もあり、注意が必要です。スクリーニング検査としては、血中カテコラミン分画、尿中メタネフリン分画を測定します。アドレナリン、ノルアドレナリン正常上限値の3倍以上の上昇または合計2000pg/dl以上の高値で陽性です。局在診断としては、CT、MRI、MIBGシンチグラフィ、FDG-PET、他、いくつかの画像診断法があります。お茶の水循環器内科の方針としては、採血または尿検査にて褐色細胞腫を疑った場合には、内分泌内科へ紹介する方針としています。詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
→https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0365/G0001079
【褐色細胞腫の治療】
お茶の水循環器内科の方針としては、二次性高血圧症のスクリーニング検査として採血または尿検査にて褐色細胞腫を疑った場合には内分泌内科に紹介し、精査及び治療を行うようにしています。
・血圧コントロールとしては、α1遮断薬を第一選択とし、カルデナリン(ドキサゾシン)で1mgから16mgを2、3週間掛けて調整します。α1遮断薬のみで降圧不十分な場合にはCa拮抗薬を併用します。頻脈、心不全に対してはβ遮断薬を併用しますが、先にα1遮断薬を投与します。
・高血圧クリーゼに対しては、レギチーン(フェントラミン)持続静注にて管理します。
・腫瘍が特定された場合には、手術療法による腫瘍切除術が第一選択です。
妊婦における診断・治療、病理組織診断、遺伝子解析、予後および経過観察、悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマに対しては、悪性度の評価法、化学療法、I-MIBG治療、骨転移の治療、疼痛の治療、便秘の治療、カテコラミン合成阻害薬、その他の治療、今後のPerspectivesなどの記載があります。詳しくは日本内分泌学会「褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018」をご覧ください。
→https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0365/G0001079